モバイル決済でソーラー・パネルを流通 〜 新興企業がケニア農村部に革新
- 2014年4月21日
- 環境ビジネス
ケニアで太陽電池システムを販売する新興企業エムコパ(M-KOPA)は、ブルームバーグの開催したエネルギー業界の会議で「エネルギー業界の新しい開拓者」として表彰された。
ギガOM誌によると、エムコパは、ケニアで普及しているモバイル決済システムを利用して、太陽光発電システムの流通販売を手がけている。活動地域は主にケニアとウガンダの非都市部で、送電網の届かない地域だ。
共同設立者のジェシー・ムーア氏は、ケニア農村部の多くの家庭で使われている石油ランプが同社の競争相手だと話す。石油ランプの燃料のケロシンは、安全性が低く、有害な臭気を発するうえ、価格も比較的高い。しかし、同社の方式を利用すれば、1日あたり約40シリング(約46セント)で自宅にソーラー・パネルを設置して、携帯電話から料金を支払える。
ムーア氏は、もう一人の共同設立者ニック・ヒューズ氏とともにエムコパを設立するために、4年前にナイロビに移住した。ヒューズ氏は、ボーダフォンが開発し、ナイロビにある電話会社のサファリコム(Safaricom)が一部出資するモバイル決済システムの会社エムペサ(M-PESA)に初期から参画しており、ムーア氏も一時、イギリスのエムペサで働いたことがあった。
その間にヒューズ氏が新事業設立案についてムーア氏に打診した。エムペサを決済システムとして利用して、銀行口座を持っていない農村部の人口にも信用を提供できるようにするという案だった。
エムペサは、世界最大のモバイル決済システムの一つで、ケニアでは成人の95%が使用しており、ケニアのGDPの3分の1がその決済システムを流れると見積もられている。
しかし、ケニアの農村部にそういった電子決済システムを提供するには、安定した電力供給がまず必要だ。そこで、ソーラー・パネルを販売することとなった。
エムコパが販売しているソーラー・パネルやコントロール・システム、LEDライト、ラジオは、提携企業のディーライト(d.light)が提供している。ディーライトの家庭用ソーラー・システムは、4ワットのパネルを使用、価格は約200ドル。購入顧客は、小額の頭金で購入して、通常は1年にわたる毎日のマイクロ決済で返済していく。
長期的にはソーラー・システムのほうが石油ランプよりも安い。ケニアの農村部のすべての家庭がソーラー・パネルに切り替えたならば、数百万人という人々の生活と生計が向上する、とムーア氏は説明している。
エムコパは過去1年半で6万5000台のシステムを販売した。1週につき1000台、1ヵ月では5000台のペースだ。同社では1日1000台のペースを目指している。
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