作業の負担をアバターで評価〜フォード、シーメンスのソフト使い

 フォードは、車両組み立て作業などの身体的負担を調べるため、人間工学に基づく立体映像(3D)のアバター(コンピュータ上の分身)を活用している。

 ワシントン・ポストによると、ミシガン州のフォード工場では数年前、労働者から新しい車輪リムの装着作業は腰が痛くなるという苦情が上がった。現場監督らは、新しいリムが旧型よりわずかに重くなったことが原因と考え、リムを車輪に自動装着できる多関節アームの導入を本社に要請した。

 フォードは、高価で生産速度を落とす恐れもあるアームを導入する前に、人間工学チームがアバターを使ってアームが必要かどうか評価した。その結果、リムを積んだパレット(運搬用の台)を作業場の横に置き、リムを持って体を回転させる余裕を作れば腰への負担が軽減されることが分かった。この評価に基づいて作業場の配置を変えると作業員の苦情もなくなり、アームは必要なくなったという。

 同社は以前から、シーメンス製の製品耐用年数管理ソフトウェアを使い、製造工程が労働者に与える影響をコンピュータで評価してこの手の問題を解決してきた。ソフトはねじ締めなど特定の動作の際に、どの程度の負荷が関節にかかり、背骨を圧迫するかをアバターで測定する。

 シーメンスは1999年、ペンシルベニア大からスピンオフ(分離・独立)した企業から同ソフト技術を獲得した。ミシガン大研究グループの協力を受け、棒線画のアバター「ジャックとジル」を、改変可能な3Dアバターに進化させた。フォードが使う同社ソフトのアバターには、地域別の労働者の身体的特徴に応じてアジア太平洋版や北米版などがある。

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