駐車場のソーラー化は効果大〜課題はコストと国立研究所
- 2015年2月13日
- 米国ビジネス
屋外駐車場にソーラー・パネル付きの屋根を設置して「ソーラー・カーポート」にすれば、環境面はもちろん、ほかにもさまざまな利点が考えられるという調査報告書を、ローレンス・バークリー国立研究所(カリフォルニア州)が発表した。
クリスチャン・サイエンス・モニターによると、一般的な都市は地面の35〜35%が舗装されており、そのほぼ50%が駐車場で、40%が屋根のないむき出しの駐車スペースとなっている。黒っぽい舗装は太陽エネルギーのほとんどを吸収するため、地面の温度が上がり、地表の気温を高めて都市特有の「ヒートアイランド現象」を加速させている。
しかし、駐車場を屋根で覆ってソーラー・パネルを並べれば、熱を反射し太陽エネルギーを建物や電気自動車(EV)の電源に変え、地面に吸収される熱も減って気温も下がる。また、車が日にさらされないため、特に夏場は車の冷却に使うエネルギーを減らせて燃料代の節約にもなる。
直接的な環境上の利点だけでなく、人々の環境意識を高めるといった効果もある。スポーツ用品販売大手REIの場合、2012年にマサチューセッツ州フラミンガム店で同社初のソーラー・カーポートを設置したところ、社員も刺激され、できるだけ室内灯を消して窓からの自然光を利用するようになったという。
これほどの見返りがあるにもかかわらず、ソーラー・カーポートが全米にそれほど普及していない理由は、コストにある。経済的リスクを基にソーラー・プロジェクトを評価しているトゥルーソーラー(TruSolar)によると、ソーラー・カーポートは最も建設コストがかさむタイプのシステムだという。機構が複雑になるのはもちろん、鉄材の量や労働力なども通常以上に必要で、その割には発電量が少ない。
このため、設置は再生可能エネルギーを支援する制度がある一部の州でしか現実的でない。現在ソーラー・カーポートが導入されているのは、ダウ・ジョーンスやステイプルズといった大手企業やNFLワシントン・レッドスキンズのフェデックス・フィールドといったスタジアムなどが中心で、ほとんどの都市や企業にとっては実現は経済的に困難だ。ただし、数年前に比べると設置費用は安くなっており、将来の可能性はある。
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