高級車がメーカーの収益源に〜利益の7割は北米と中国から

 世界の自動車大手は高級モデル生産によって利益を増やしつつあり、地域的には中国と北米が重要になっているという報告書を、経営コンサルティング大手マッキンゼーがまとめた。

 ロイター通信によると、世界の自動車大手21社は2014年に1270億ドルの営業利益を計上し、08年の約50億ドル、09年の60億ドルから大幅に増やした。14年の利益の約70%は北米と中国から生まれ、その割合は前年の65%から拡大した。

 また、売上高で見ると14年の高級モデルの構成比は12%にとどまったが、利益では38%を占め、前年の33%から上昇した。マッキンゼーのアナリスト、ハンスワーナー・カース氏によると、北米の自動車メーカーやサプライヤーは08〜09年の経済危機以降、機構改革や生産数の縮小、販売店の削減・統合を行ったほか、製品の品質が高まったことで業績が好転した。

 ニューヨーク自動車ショーでも、業界幹部らが「SUVやトラックの需要が好調な中国と米国市場で、高級車事業に力を入れている」と発言した。中国市場は、近年伸びが鈍ったとはいえ新車販売台数は大幅に増えており、高級車市場も規模が大きく、かつ拡大している。

 北米では、SUVとクロスオーバーの販売構成比が伸びていることも増益の要因となっている。また米国では利益率の高いピックアップ・トラック市場が堅調で、従来この分野で業務を展開していなかったブランドも引きつけている。例えば、メルセデスベンツ米国部門のスティーブ・キャノン社長は「(富裕層の多い)コネチカット州グリニッチを走るトラックは作業現場に向かっている訳ではない。そういう市場があり、今その評価を行っているところだ」と話す。

 一方で、自動車業界がこの10年多額を投じてきたブラジル、ロシア、インドなどの大型新興市場は、まだ期待通りの販売や利益をもたらしていない。しかしマッキンゼーのカース氏は「10年単位で見れば可能性はある」と語った。

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