欧州連合、デジタル市場の統一化戦略を模索 〜 米IT大手の勢力拡大に対抗
- 2015年5月8日
- 環境ビジネス
欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)は、欧州内で断片化しているオンライン市場を統一するための戦略を打ち出した。ECは市場を一本化することで、欧州で勢力を強める米インターネット企業群に対抗しようと狙う。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、デジタル市場統合戦略は16の構想で構成され、そのなかには、通信サービスや著作権、税金、サイバーセキュリティーといった分野が含まれる。各構想ごとに異なる改革法案が盛り込まれる見込みだ。
たとえば、通信サービス構想では、ラジオ周波帯域の適切な配分に関する取り決めが盛り込まれている。欧州市場でも非常に強いワッツアップ(WhatsApp)やスカイプ(Skype)といった米インターネット通信サービス大手と対等に競争できる環境をそれによって整備する姿勢だ。
デジタル市場統一戦略には、欧州市場における米インターネット大手の商慣行に関する正当性を審議することも含まれている。EUはかねてから、アマゾンのような米インターネット大手がその規模の力をてこ利用して欧州企業を駆逐することに懸念を強めている。
一方で、欧州のオンライン市場が非常に断片化しているために、成長が妨げられているという指摘もあり、ECでは、地元企業が米大手と競争できるように、オンライン市場を統合する環境整備に注力する。
ただ、それらの規制案や改革案が法制化されるまでには、少なくとも数年かかる見込みだ。改革案がEU加盟各国の政府によって審議され、それを経て欧州議会によって可決される必要があるためだ。
EUは、断片化したデジタル市場が統合され地元企業の成長を後押しすることで、約4653億ドルの増収と数十万件の雇用増を見込んでいる。それによって、現在11%に達するEU内の失業率を一気に改善したい考えだ。
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