遠藤周作『沈黙』がハリウッドで映画化 出演者イッセー尾形氏に聞く

アカデミー賞受賞監督のマーティン・スコセッシが日本の芥川賞作家、遠藤周 作のキリスト教小説『沈黙(英題『Silence』)』を映画化した。江戸時代、隠れキ リシタンが弾圧されていた長崎に潜入した神父のロドリゴとガルペ。彼らが日本 の地で見たものとは? そして、幕府に捉えられ棄教した後、日本人として生き る師、フェレイラと再会したロドリゴ。ロドリゴも棄教するのか? それとも最 後まで信仰を守り抜くのか? 一般公開に先駆け、12月4日にはウエストウッドのヴィレッジ劇場で試写会 が開催され、上映後は監督、主演のアンドリュー・ガーフィールド、リアム・ ニーソン、日本の俳優、イッセー尾形らが出席して質問に答えるスペシャルイ ベントも行われた。スコセッシ監督は28年前に原作と出会い、やっと2016年 に念願の作品を完成させることができたと語った。また、カトリックへの信教 がテーマとなっていることから、バチカンでローマ法皇とも接見し、バチカン の敷地内で特別試写会を開催したことも報告された。 ウエストウッドでの試写会の翌日の5日、ビバリーヒルズのホテルで、隠れ キリシタンを探し当て、棄教を迫る幕府側の井上筑後守を演じたイッセー尾形 氏に話を聞いた。

言葉に表せない気持ち

昨日、初めて試写で完成した作品を見たのですが、感じるものはたくさんあ りました。しかし、簡単な言葉で表すのはいやですし、表現するのが難しかっ たですね。黒い固まりが静かにやってくる様な感覚がしました。 言葉に表せない程の気持ちがやってきて、哲学でいうと、それはただ黙るし かない。まさに「沈黙」でした。 自分が演じていたものをスクリーンで見て、演じている時とはまったく違う と感じました。 演じている時は夢を見ているような感覚で、でも実際には自分 の素に近いものがあったりしましたね。

スコセッシ監督との仕事

実は、2005年の映画『太陽』を見て、スコセッシ監督が私をキャスティングすると決めてくれていたそうです。なので、今回はオーディションと言うより 顔合わせ程度でした。 現場での監督は、すべてに置いて肯定しかしません。「good! one more time 」「excellent! one more time」と。だから自分も乗ってきて、もっと こうしようああしようという気持ちが自然と沸いてくるんです。ネガティブな ことは一切言わないですし、スタッフも含め、現場で怒鳴り声を聞いたことは 一度もありませんでしたね。 また、クライマックスシーンの現場の静けさの様は、今までの人生で体験し たことのない「静寂」でした。セットの周りは関係者がいて少しざわざわして いるのですが、一歩セットに足を踏み入れると、完全なる静寂になっているん です。舞台は全て用意されていて、後は演じるだけ。全て整っていました。スタ ッフも含め全員が、監督が何をしたくて何を求めているか分かっているんです ね。それが、スコセッシ監督が作り上げる世界なんだと感じました。 素晴らしい作品を「全身全霊」をかけて作る方。ああいう人になりたい、と強 く憧れました。

 

アンドリュー・ガーフィールドとの共演

アンドリューは本読みの時に、原作の『沈黙』を持ってきていました。真面目 な人だなと。彼の演技は、演技を超えてハートに飛び込んでくるんですよ。だ から、彼と対峙するシーンでは、演技というよりも自分自身の本当の気持ちで 演じていました。 また、お昼ごはんの時にアンドリューはダイエット中でスープだけでした が、自分はチーズバーガ ーを食べていたので「ご めんね」と言ったら、「い いよいいよ」と言って自 分で食べたものをさっさ と片付けていて、大人だ なーと(笑)。

在米日本人への メッセージ

人は生きていれば必ず 何かを信じていると思い ます。特にアメリカに住 んでいる日本の方は、信 念があってここに来てい る方が多いはずです。こ の映画を通して、全ての 方が何かしら持っている 「信念」に触れる、再開す る、そんな機会にしてい ただければ嬉しいです。

■ 詳細:www.silencemovie.com

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