モバイルとソーシャル機能に注目

 IBMは、ユニックス(Unix)やx86系サーバーといった低価格システムとの競争を避けるために、モバイル・アプリケーションやソーシャル・ネットワーキング・アプリケーションをメインフレーム上で簡単に稼動できるようにする計画だ。

 メインフレームの顧客である銀行や通信サービス会社といった大手企業は、セキュリティや動作可能時間の最大化には投資を惜しまない傾向がある。しかし、モバイルおよびソーシャル・アプリケーションに関しては、ほかのプラットフォームを使うことが多い。

 コンピュータワールドによると、IBMのメインフレーム事業「システムZ(System z)」のダグ・バログ統括部長は、仮に銀行がモバイル銀行アプリケーションを顧客企業に提供する場合、そのアプリケーションをメインフレームで稼働できるようにすれば、ほかのプラットフォームを使う必要がなくなるだろう、と話す。

 同氏はまた、既存のモバイルおよびソーシャル・アプリケーションをメインフレームに簡単に移植できるようにするツールとサービスの提供も視野に入れている。

 短期的には、メインフレーム利用の大きなけん引力として「オペレーション・アナリティクス(operational analytics)」を同氏は挙げる。不正検出に代表されるように、業務を実行するために取引データをほぼリアルタイムで解析する機能もそれに含まれる。

 たとえば、銀行カードを使って現金を引き出そうとしている人がカード所持者本人であるかどうかを認証するために、その消費者が最近でどこでいくらを支出したかといったほかのデータを参照する。

 一方、顧客企業は、IBMのデータウェアハウス・システム「ネティーザ(Netezza)」の一つに投資する必要がある。ネティーザについては、同社メインフレームとの統合が進められている。

 バログ氏は、大規模データ(Big Data)向けプラットフォームのハドゥープ(Hadoop)がデータ処理に適しているのに対し、ネティーザはオペレーショナル・アナリティクスにとってより良いソリューションであると主張する。

 IBMは最近、「EC12」システムを導入し、直近四半期決算でメインフレーム事業の売上高が56%増加した。

 IBMが得意とするメインフレームは近年、電算システムやデータ・センターの進化を受けて将来性が疑問視されるものの、バログ氏によると、同社は中国を中心に、過去2年で約180のメインフレーム顧客を追加した。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 今年、UCを卒業するニナは大学で上級の日本語クラスを取っていた。どんな授業内容か、課題には...
  2. ニューヨーク風景 アメリカにある程度、あるいは長年住んでいる人なら分かると思うが、外国である...
  3. 広大な「バッファロー狩りの断崖」。かつて壮絶な狩猟が行われていたことが想像できないほど、 現在は穏...
  4. ©Kevin Baird/Flickr LOHASの聖地 Boulder, Colorad...
  5. アメリカ在住者で子どもがいる方なら「イマージョンプログラム」という言葉を聞いたことがあるか...
  6. 2024年2月9日

    劣化する命、育つ命
    フローレンス 誰もが年を取る。アンチエイジングに積極的に取り組まれている方はそれなりの成果が...
  7. 長さ8キロ、幅1キロの面積を持つミグアシャ国立公園は、脊椎動物の化石が埋まった岩層を保護するために...
  8. 本稿は、特に日系企業で1年を通して米国に滞在する駐在員が連邦税務申告書「Form 1040...
ページ上部へ戻る