米政府、最新の対中技術輸出制限強化策を発動 〜 外国直接製品規則ではオランダ製と日本製は免除

米政府は12月2日、中国の半導体業界に対する3年ぶり3回目の取り引き制限強化策を発動し、中国のチップ製造装置メーカー大手ノーラ・テクノロジー・グループ(Naura Technology Group)を含む140社への輸出制限を強化した。

ロイターによると、米政府によるその動きは、バイデン政権最後の大規模の対中技術輸出制限強化策だ、と匿名希望の関係者二人が取材に話した。

ホワイトハウスは、中国が西側陣営から先進技術を調達することに関し、人工知能の軍事転用をはじめとする国家安全保障上の脅威と位置づけ、その基礎となる高性能チップや関連技術の対中輸出を制限している。

今回の制限強化策には、1)人工知能の訓練のような高等応用に不可欠の高帯域メモリー(High Bandwidth Memory=HBM)チップの中国向け出荷の抑制、2)24のチップ製造ツール群の追加規制、3)新たな三つのソフトウェア・ツール販売規制、4)シンガポールやマレーシアを含む米国外で製造されたチップ製造装置の新たな輸出規制が含まれている。

それらのチップ製造ツール群には、ラム・リサーチ(Lam Research)やKLA、アプライド・マテリアルズ(Applied Materials)、オランダの装置メーカーASMインターナショナルの製品が含まれ、それらの業績に影響すると予想される。

情報筋によると、新たな輸出制限に直面する中国企業のなかには、20社近くの半導体メーカーや2社の投資会社、100社以上のチップ製造ツール・メーカーが含まれる。それらの中国企業は、米政府の輸出制限対象企業リストに追加される。同リストに掲載された会社らと米企業が取り引きする際には、米政府からの許可を取得することが必要となる。

米国は今回初めて、チップ会社らに投資する2社を取り引き制限対象企業リストに追加した。それら2社は、中国の投資大手ワイズ・ロード・キャピタル(Wise Road Capital)と技術会社ウイングテック・テクノロジー(Wingtech Technology)だ。

今回の制限強化策には、外国直接製品規則(foreign direct product rule)という規則がある。同規則は、米国と日本、オランダの半導体製造装置メーカーらが米国外で製造した製造装置の対中国内チップ工場への輸出を抑制する米国の権限を拡大する。その結果、マレーシアやシンガポール、イスラエル、台湾、韓国で製造された装置は新規則の対象となる。したがって、一部のメーカーらはその打撃を受けるとみられるが、オランダと日本の国内で製造された装置は除外される。

同規則はまた、特定の米国外製品が米国の管理対象となる時期を決定する米国産の量をゼロに引き下げることを規定する。米政府はそれによって、米国外から中国に出荷される品目に米国製チップが含まれていれば、それを規制できる。

さらに、別の規則では、韓国のサムスンやSKハイニックス、米国のマイクロンが製造する「HBM 2」以上の技術に対応する人工知能チップに使用されるメモリーを制限する。その影響を受けるのはサムスンだけとみられる。

(Gaean International Strategies, llc社提供)

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