2025年に人々の暮らしや会社らに影響をあたえる技術 〜 ウォール・ストリート・ジャーナルが9つを特定

ウォール・ストリート・ジャーナルは、2025年に人々の暮らしや多くの会社に大きな影響をあたえる技術または潮流変化を起こす技術として、1)人工知能代理人、2)人工知能端末、3)ティックトック禁止、4)天気予報アプリケーションの進化、5)データ・センター向け電力の低炭素化、6)暗号通貨ブーム2.0、7)電気自動車の売れ行き鈍化、8)健康寿命長期化に照準したツール、9)ロボタクシーの本格化を挙げた。本稿では、それら9つを前編と後編に分けて紹介する。

1.人工知能代理人

技術会社らは2024年の後半に人工知能代理人(AIエイジェント)を前面に押し出し始めた。生成人工知能を基盤とする人工知能代理人は、利用者に代わって遠隔会議に出席して会議内容を要約したり、旅行の予約内容を作成したり、服や靴をオンライン購入したりする。2025年には人工知能代理人がさらに増え、機能も大幅に拡充されことが確実だ。

グーグル(Google)は、大規模言語モデル(large language model=LLM)の新版であるジェミナイ2.0(Gemini 2.0)を「人工知能代理人時代のモデル」と宣言し、人工知能代理人が航空券やそのほかさまざまの商品を利用者に代わって買う能力と機能を明示した。マイクロソフトを筆頭に、ことしには技術大手らがそういった動きをさらに鮮明化させるだろう。

2.人工知能端末

アップル(Apple)は、6インチのスマート・ホーム・ディスプレイを2025年中に発売すると見込まれる。外観はおそらくアイパッドとほぼ同じだが、シリ(Siri)とアップル・インテリジェンス(Apple Intelligence)に重点を置いた機器になると予想される。たとえば居間の壁に取り付け、利用者が自然言語で話しかけることで、従来型の仮想執事(人工知能アシスタント)ではできないことを実行する端末が登場すると見込まれる。

アップルは取材に応じなかった。

類似の端末はアマゾン(Amazon)も開発中とみられる。

3.ティックトック禁止

オーストラリアやEU、アルバニアといった一部の国または地域では、中国バイトダンス傘下のティックトック(TikTok)をすでに禁止または利用制限している。子どもへの悪影響がその理由だ。

米国も、バイトダンスがティックトックを非中国企業に2025年1月19日までに売却しないかぎり、米国内での利用を禁止する法案をすでに可決した。ティックトックは同法が米憲法に違反すると主張して提訴している。一審と控訴審で敗訴した同社は現在、連邦最高裁に上告しており、最高裁は1月10日に口頭弁論を予定している。

同件をめぐっては、トランプ次期政権がどう出るかという未知数がある。ホワイトハウスが可決法案を覆すことはできないが、ティックトック禁止法の発効を遅らせるか保留する方針を打ち出せば、新たな行政措置がとられる可能性が出てくる。

4.天気予報アプリケーションの進化

天気予報が当たらないことはめずらしくない。その精度の向上に取り組んでいるジェンキャスト(GenCast)は、グーグル傘下のディープマインド(DeepMind)が開発した新しいモデルを使って、15日先までの天気を従来より高精度で予想する技術を開発した。

ジェンキャストの気象予想サービスは2025年初めに公開される予定だ。従来の予想モデルでは10日先までの天気を約50%の精度で予想するのが精一杯だ。グーグルによると、ジェンキャストのモデルは、欧州で普及しているモデルの精度97.2%よりすぐれた気象予報を達成した。さらに、従来型の気象予報スパコンは、予想するのに何時間もかかるが、ジェンキャストのモデルは8分で予想内容をはじき出す。

天気予報アプリケーションは、スマートフォン利用者によってもっとも使われるアプリケーションの一つだ。ジェンキャストが独自の天気予報アプリケーションを提供開始すれば、同分野の勢力争いが激変するだろう。

5.データ・センター向け電力の低炭素化

生成人工知能をはじめとする人工知能やクラウド電算の劇的需要増によって、データ・センターが必要とする電力量が激増している。世界各地でのデータ・センターの拡張や新設がこのまま続けば、給電基幹設備の逼迫と脱炭素化への逆行によって問題が深刻化する、と警告する声が非常に強まっている。

アマゾンやグーグル、マイクロソフトはその対策として原子力発電に数十億ドルを投資している。マイクロソフトとアマゾンはまた、原子力潜水艦に搭載されているようないわゆる小型モジュール原子炉の採用も検討している。

同分野ではそのほか、地熱発電や天然ガスを発電源とするデータ・センター向け電力確保の新たな選択肢への投資も活発化しつつある。

6.暗号通貨ブーム2.0

ビットコインはドナルド・トランプ氏の大統領選当選を受けて、12月初旬に10万ドルを史上初めて超えた。その後、9万2000ドル台から10万600ドルのあいだをはげしく変動している。

ビットコインETF(Exchange Traded Fund)が登場したことで、一般投資家たちが暗号通貨投資商品に投資できるようになったことから、暗号通貨は2024年に、2021年以来のブームに乗りつつあった。そこに、暗号通貨推進派のトランプ次期政権が決まったことで、次なる暗号通貨ブームが決定的となった。

ウォール街や投資専門家らは、ビットコインが投資対象として証券や債券と同様に一般的な選択肢となったと指摘する。暗号通貨への投資熱はいつでも冷めて暴落するリスクと隣り合わせだが、2025年には少なくとも一時的には賑わうと予想される。

7.電気自動車(electric vehicle=EV)の売れ行き鈍化

トランプ次期政権は、米国のEV販売に強力な打撃を食らわせようとしている。次期政権は、EVに対する連邦補助金を廃止する方針をこれまで何度も明言してきた。その打撃は、中国やそのほかの国からの輸入品への関税というかたちでもたらされる。電池材料がその筆頭だ。米国には、EV電池工場がいくつもあるが、材料の大部分は輸入に依存している。

8.健康寿命長期化に照準したツール

いわゆる健康寿命(健康でいられる期間)を延ばすというのは世界中の多くの人たちが切に望んでいることだ。老化の度合いを測るアプリケーションはその実現に貢献するかもしれない。

2025年に市場投入される同ツール「デス・クロック(Death Clock)」(死時計)は、良い習慣を持つ70歳の姿と悪い習慣を持つ70歳の姿の二つの画像を生成する。

かたや、マサチューセッツ総合病院ブリガムの研究者たちが開発したフェイスエイジ(FaceAge)は、利用者の自撮り写真を分析して生物学的年齢を判定する。その目的の一つは、がん患者が治療に耐えられるほど健康で、治療の恩恵を受けられるほど長生きするかどうかを見きわめることだ。研究者たちは、糖尿病患者や整形外科患者を分析するアルゴリズムも開発中だ。

さらに、グルコースを追跡して血糖値急騰を検出するツールも2025年の大きな健康管理追跡機能として挙げられる。血糖値の急上昇が繰り返されたり長引いたりすると、心臓病や糖尿病のリスクが高まる。2025年に台頭する可能性があるおもなアプリケーションには、ジャニュアリー(January)やスティロ(Stelo)がある。いずれも人工知能技術を応用したツールだ。

9.ロボタクシー

自動運転車(autonomous vehicle=AV)の本格的普及は2017年にも実現すると予想されたものの、AVの交通事故が公道試験や開発を遅らせ、規制当局らによる公道試験申請審査が長引くといった要因も重なって、普及といえる段階には進んでいない。

しかし、2025年は、一部の米国内主要都市でAVの商業化がすでに決まっている。アトランタでは2025年初頭から、ウーバーのアプリケーションを使ってウェイモ(Waymo)のAVを呼ぶことができる。グーグル傘下のウェイモによるAV配車サービスは2025年に東京でも始まる。ウェイモは、サンフランシスコとフェニックス、ロサンゼルス、オースティンで週あたり15万回のAVサービスを提供している。

一方、GMのクルーズ(Cruise)は、ロボタクシー事業から撤退したものの、アマゾンのズークス(Zoox)は、2025年にラスベガスでAVサービスを提供開始し、その後にサンフランシスコでも展開する予定だ。ズークスはまた、オースティンとマイアミでも公道試験を開始した。

かたやテスラは、モデル3とモデルYの完全自律走行版である「完全自動運転」ソフトウェアをテキサス州とカリフォルニア州の利用者向けに提供することを約束している。

(Gaean International Strategies, llc社提供)

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