電池用金属市場、厳しさ続くか~価格下落、すでに2年

2023年に暴落したリチウム、ニッケル、コバルトの価格は24年も下がり続け、電池用金属業界にとって昨年は厳しい1年だった。

◇期待外れのEV

ロイターによると、24年の世界EV市場はペースを落としながらも拡大を続け、1~11月の販売は前年比25%増を記録した(英コンサルティング会社ロー・モーション)が、その裏には電池用金属業界にとっては歓迎できない二つの事実が隠れている。

一つは、依然としてEV移行の主な推進力は中国で、欧米市場はてこ入れに苦労していること。中国では11月の販売台数が月間記録を更新したが、米国とカナダはそれぞれ前年同月比10%増にとどまり、欧州販売は減少した。欧米では、電動車への乗り替えにまだインセンティブが必要で、23年末に補助金支給を打ち切ったドイツでは24年の販売が低迷した。

二つ目の問題は、特に重要な中国市場で多くのEV購入者がEVよりもハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)を選んでいるという点。HVやPHVは、電池の大きさが完全EVモデルの約3分の1しかなく、電極に使われる金属の量も少ない。

◇電池化学の変化

国際エネルギー機関(IEA)によると、リチウム需要の一部は、23年に中国EV販売の3分の2を占めたリチウム鉄リン酸塩(LFP)電池のシェア拡大によっても影響を受けている。LFP電池はニッケル含有量の多い電池よりも安く、中国の電池メーカー各社はLFP電池の性能を向上させている。

最大手CATL(寧徳時代新能源科技)の最新LFP電池「Shenxing Plus(神行プラス)」はEVの航続距離1000キロメートル超と高い性能を持つが、その材料ではないニッケル、コバルト、マンガン市場は打撃を受けている。コンサルティング会社アダマス・インテリジェンスによると、新型EVの販売で10月に路上に出回ったリチウムの量は約4万8000トンと、前年同月比28%増加したが、HVへのシフトと電池化学の変化を反映し、ニッケル、マンガン、コバルトの供給量はそれぞれ10%、4%、2%の増加にとどまった。

◇供給過多続く

中国以外でEV需要が予想を下回る一方、電池用金属全体の供給量は急激に増えている。

中国のニッケル生産各社は、インドネシアの比較的低品位な鉱石を高純度のクラス1ニッケルに加工するという技術的飛躍に成功し、豪投資銀行マッコーリーによれば、中国とインドネシアを合わせた24年の生産量は前年比30%増加が見込まれる。少なくともインドネシア当局は、採掘枠を制限し、加工工場の新規認可を一時停止するなど供給を規制する姿勢を示しているが、中国のメーカーにそうした兆候は見られない。

コバルトも価格が暴落しているが、コバルト生産世界最大手の中国CMOCグループは、1~9月期の生産量が8万4700トンと前年の3万7000トンから大幅に増加した。中国のリチウム生産各社も減産に抵抗しており、ベンチマーク・ミネラル・インテリジェンスは25年のリチウム供給について、3年連続で需要を上回ると予想している。

(U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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