CNBCによると、米技術業界大手らとドナルド・トランプ次期大統領は、やや複雑な関係にあるため、技術大手らは最近、次期政権における立場を優位にすべく、トランプ陣営への寄付に舵を切り始めた。
▽メタとアマゾンとアルトマン氏、100万ドルを寄付
メタ(Meta)のマーク・ザッカーバーグCEOとアマゾン(Amazon)創業者のジェフ・ベゾス氏には特に、トランプ次期大統領とのあいだに対立関係の過去がある。かたやオープンAI(OpenAI)のサム・アルトマンCEOは、次期政権で重用されるイーロン・マスク氏と激しい法廷闘争を繰り広げている。
メタは、ザッカーバーグ氏がトランプ氏のマール・ア・ラーゴ・リゾートでトランプ氏と個人的に食事した数週間後に、トランプ陣営の大統領就任基金(政権移行準備基金)に100万ドルを寄付したことをCNBCの取材で認めた。アマゾンも同基金に100万ドルを寄付する予定だ。
アルトマン氏は12月13日、「トランプ大統領はわが国を人工知能時代へと導くだろう」と声明を発表し、同基金に100万ドルを個人的に寄付する予定だと明言した。
▽トランプ氏とベゾス氏、過去に激しい非難合戦
トランプ氏は、技術大手らを声高に批判しており、12月初めには、独禁法違反の取り締まりをゆるめない姿勢を示唆した。同氏が過去に、技術大手らに対してもっとも敵対的姿勢を明示したのは、ベゾス氏とアマゾンに対するものだ。
トランプ氏は第一次政権において、ベゾス氏とベゾス氏の会社であるアマゾンとワシントン・ポストを繰り返し攻撃した。それらの会社が納税逃れをし、「フェイク・ニュース」を流布している、とトランプ氏は非難した。
ベゾス氏は2019年に、数十億ドル規模の国防総省との契約(ジェダイ=JEDI)を失ったことについて、同社に対するトランプ政権の「舞台裏での攻撃」を非難した。ベゾス氏は2016年の大統領選前には、トランプ氏に対し、「民主主義を侵食する」と批判した。
ベゾス氏の宇宙開発新興企業ブルー・オリジン(Blue Origin)は、マスク氏が立ち上げたスペイスエックス(SpaceX)を追っている。マスク氏が次期トランプ政権で政府効率化省(Department of Government Efficiency=DOGE、ドージ)の共同責任者に就任することから、トランプ政権との関係改善は、スペイスエックスとの競争上、必須だ。
▽保守派を封印するソーシャル・メディアを嫌うトランプ氏
トランプ氏は2022年の再戦選挙で敗北したのち、フェイスブック(Facebook)とツイッター(Twitter)、グーグル(Google)のCEOらを提訴した。3社ともトランプ支持者たちによる2021年1月6日の連邦議会議事堂暴動後、トランプ氏のアカウントをそれぞれのソーシャル・メディア・プラットフォームから排除したためだ。
トランプ氏は以前から、米技術大手らの運営するソーシャル・メディアが保守派の声を封じていると非難してきた。そのトランプ氏がホワイトハウスに返り咲き、トランプ氏と懇意にしているマスク氏が次期政権で要職に就くことが決まった現在、技術大手らはトランプ政権からにらまれないよう必死だ。
アップル(Apple)のティム・クックCEOとマイクロソフト(Microsoft)のサティア・ナデラCEO、グーグルのサンダー・ピチャイCEOも、11月のトランプ氏再選後に祝辞を大々的に表明した。大統領就任基金への寄付については、それら3社は明言を避けている。
▽オープンAIとアルトマン氏、マスク氏の躍進で前途多難か
マスク氏らとオープンAIを一緒に立ち上げたアルトマン氏の場合、トランプ政権の返り咲きは、ほかの技術大手らより深刻かもしれない。アルトマン氏は、オープンAIを去ったマスク氏がオープンAIの競合社エックスエイアイ(xAI)を立ち上げたことで、マスク氏とは直接競合の関係にある。
アルトマン氏はまた、オープンAIを現在の非営利団体から営利団体に再編するのにともなって、契約違反と受託者義務違反の容疑でマスク氏から訴えられている。
オープンAIはそれに対し、12月13日、過去の電子メールのやり取りを引用し、マスク氏がオープンAIをいずれ営利団体にすることを2017年の時点で「望んでいただけでなく、その計画を実際につくった」と主張し、反撃した。
(Gaean International Strategies, llc社提供)
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