街角や大学キャンパスなどで展開が始まった配達ロボットは、人間とロボットの未来の関係を象徴する存在となっているが、まだ理想的とはいえず、ロボットが雪に埋もれる、転倒する、車に衝突されるといった例も報告されている。
◇飲食業界を支援
ウォールストリート・ジャーナルによると、工場や製造現場で優秀な働きを見せ、多くの作業を担っているロボットは、常に労働力を必要とする飲食業界にも進出している。最近ではココ・ロボティクス(Coco Robotics)、ベア(Bear)、サーブ(Serve)などの新興企業が開発した数千台のロボットが、シェイクシャックのハンバーガーやリトル・シーザーズのピザなど、レストランのテイクアウト注文品を家庭やホテルの客室に届けている。また、バッファロー・ワイルド・ウィングスやデニーズの店内では、ロボットが客に料理を運んだり、配達専用アプリの注文に対応したりしている。
◇柔軟性が欠如
しかし、異常事態に人間ほど柔軟に対応できないロボットが、雪道や歩道の障害物などに苦労する様子がたびたび目撃されている。大学キャンパスでは、比較的車の少ない環境を利点にして早くから導入が進められているが、学生からは「歩道をふさぐ」「酔った学生がつまずく」といった不満も聞かれ、ふざけてロボットに馬乗りになる人もいる。
一方、ドミノ・ピザは2021年、ロボット企業ニューロ(Nuro)と提携し、テキサス州ヒューストンで車道を走る配送ロボットの試験を開始したが、法令順守を優先するあまり配達効率が低下した。これらのロボットは駐車に関する規則に厳格で、人間ならハザードランプを点灯させて二重駐車して配達するところを、合法的な駐車スペースを探し続ける。届け先のブロックをロボットが周り続け、注文した女性がサンダル履きで車を追いかけた例もあったという。ニューロは現在、食品配達用ロボットは製造していない。
◇ペット的な人気も
ココ(本社カリフォルニア州サンタモニカ)は、センサーとレーダーを使って歩道を時速約5マイルで自律走行する配送ロボットを開発。重量約100ポンドの赤いサイコロ型で、存在を知らせる旗を掲げ、オフ時間は所有されているレストランや専用倉庫で待機する。
ココのロボットは、より親しみを持たれるよう漫画風な外観になっており、ペットや子供のようにかわいがる人も多い。ロサンゼルスとシカゴでは同社のロボットが登場して以来、ソーシャルメディアに動画があふれ、人々が犬と一緒にロボットを追いかける様子や、ロボットが街灯のわきを縫うように進む様子が記録されている。
ただし、誰もがロボットに好意的とは限らず、最近も夜間にロサンゼルスで、壊されて荷物室が空になった状態で赤いライトが点滅しているロボットが目撃されている。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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