マークヴィジョン、オンライン上の偽ブランド品を摘発 〜 人工知能と機械視認でコンテントをスキャンし偽物を特定

テッククランチ誌によると、新興企業のマークヴィジョンは、世界中に出回る膨大な量の偽造品に苦しめられるブランドらが偽物と闘うための解決策として、人工知能基盤の偽造品関連コンテント検出や機械視認(コンピューター・ヴィジョン)ソリューションを開発し、世界規模で台頭しつつある。

▽「世界全体の商取引の約8%にあたる3兆ドル相当」が偽物

マークヴィジョン(MarqVision)を2019年にロサンジェルスで立ち上げたマーク・リー氏は、ハーバード大学法科大学院時代に、商標法の授業を通じて偽造品市場の巨大さを知り、その解決策の開発と普及に取り組むことを考えるようになったと話す。

「世界全体の商取引の約8%にあたる3兆ドル相当の偽造品が毎年流通しており、1年あたり20%で成長している」「偽物品は普遍的な問題だ」「学生時代から興味があった機械視認でそれを解決できると考えた」と同氏は取材に語った。

▽広範の業界の350社以上にソリューションを提供

商標(Marq)と視覚(Vision)という単語を由来とする社名の同社は、ファッションや高級品、ゲーム、製薬、娯楽、自動車、家電といったさまざまの業界の顧客会社350社以上に機械視認ソリューションを提供している。

設立8ヵ月で年間売り上げは100万ドル、3年で1000万ドル、4年で2000万ドルを突破し、毎年倍増という急成長を4年以上維持している。同氏は、2027年中期までに年商1億ドルを目指している。

▽8つの主要機能

マークヴィジョンの技術のおもな機能としては、下記8つが挙げられる。

1)オンラインいちばとソーシャル・メディアのスキャニング:世界中の1500以上のオンラインいちばやソーシャル・メディア・プラットフォーム、チャット・アプリケーションをスキャンし、人工知能を活用した画像認識とテキスト分析を用いて、数百万件もの商品リストと投稿を分析し、偽造品の有無を判定する

2)アトミック・プロダクト検出:偽造業者らがロゴや保護対象デザインをぼかしたり隠したりしている場合でも、SKU(stock-keeping unit)レベルのきめこまかな精度で偽造品を検出可能にする

3)ビデオ&短編クリップ分析:ティックトックやインスタグラム・リールスといった短編クリップ・プラットフォームを積極的に監視し、偽造品に関する言及や違法商品一覧のリンクを検出する

4)販売業者クラスタリング:偽造品販売業者らをグループ化かつ地図化することで、高度の偽造販売網や生態系を特定し、大規模の偽造品取り引きの摘発を支援する

5)自動執行ワークフロー:削除通知の送信や法的証拠の収集といった侵害対策業務の一連の流れを生成人工知能によって自動化し、偽造品流通をふせぐ業務過程を劇的に高速化する

6)リアルタイム検出&摘発:ほぼ瞬時に検出し、執行措置を講じることで、偽造品のオンライン出品を数日ではなく数分で削除できるようにする

7)世界規模での展開:118ヵ国以上で事業を展開し、アジアのような偽造品拠点群との連携によって、迅速かつ効率的な国際的執行を可能にする

8)高精度と継続的な学習:高精度(99%以上)の偽造品検出を実現する

▽4800万ドルを調達、日本への進出も視野に

同社は9月15日、シリーズBの資金調達ラウンドで4800万ドルを集めた。その結果、累計調達額は約9000万ドルに達した。今回の調達資金の半分は、人工知能工学班に投じられ、生成人工知能製品群への統合を加速する。

同社はそのほか、大手ブランド向けの大規模プラットフォームの整備と世界各地への展開および販促にそれぞれ1000万ドルを投じる方針だ。リー氏は、米国と韓国、中国、欧州での展開に続き、日本市場への進出も視野に入れている。

「われわれの構想は、知的財産を所有するすべての世界的ブランドらの基盤となって知財やコンテント、ブランド専門家向けの人工知能主導型サービス・プラットフォームになることだ」と同氏は述べた。

(Gaean International Strategies, llc社提供)

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