アパレル生産に国内回帰の動き〜中国の人件費高騰などで

 過去20年以上にわたって生産業務の海外移転が続いていたアパレル業界で、生産を国内に戻す「リショアリング」の動きが一部に見られる。主な移転先だった中国での人件費高騰、品質の低下、リードタイム(商品を企画してから製品になるまでの時間)の長さなどが背景にある。

 USAトゥデイによると、ここ数年の間にブルックス・ブラザーズやサックス・フィフスアベニューなどの大手を含む数十社が、生産の一部を外国から国内に戻し、推定1000人分の新規雇用を生んでいる。1990年以降に失われた80万人のアパレル雇用に比べれば規模は小さいが、アジアの工場ではかつて安かった人件費が近年急上昇しているほか、国産品なら高めの値段を払ってもいいと考える米消費者が多いため、国内回帰が進む可能性がある。

 ブルックス・ブラザーズの場合、5年前に購入したマサチューセッツ州ハーバーヒルの工場にスーツ生産の70%を移動した。かつて米国の6分の1だった中国の人件費は現在、3分の1〜5分の1に上昇しており、ドレスシャツ、コート、パンツなどの生産も一部国内に戻している。また、海外工場では新しい注文に応じるのに7週間かかるが、国内なら、特定のスタイルの人気が上がれば2週間以内で対応できる。

 従業員6000人を抱える米最大の縫製業者アメリカン・アパレルも、生産を海外から戻すデザイナーや小売店が増えたため受注が増え、昨年から現在までにロサンゼルス工場を約100人増員した。

 大学の校名入り商品を企画・販売するスクール・ハウスは、注文が小口なため外国の工場では後回しにされることが多く、スリランカからの入荷は1〜3カ月遅れが当たり前という状態だった。しかし、2011年にすべての生産を国内の業者に移したため、入荷の遅れがなくなり、人件費も大幅に減った。特定商品の人気が突然高まった場合もわずか数日で対応でき、約22%だった利益率は35〜40%に改善した。

 業界コンサルタントのマーガレット・ビショップ氏によると、ほとんどのブランドや小売店がリショアリングを検討しており、今後10年で20万人のアパレル生産雇用が復活する可能性がある。

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