炭素ナノチューブでコンピュータ作成〜スタンフォード大
- 2013年9月27日
- 米国ビジネス
スタンフォード大学の研究チームがこのほど、カーボンナノチューブ(CNT)製トランジスタを使ったコンピュータの作成に成功した。単純だが正しく機能するといい、シリコンに代わるコンピュータの新素材として期待される。
カーボンナノチューブは、炭素原子で構成される円筒状の微細粒子。これを集積回路(IC)の素材にすれば今より小さく、速く、消費電力も少ない次世代コンピュータが開発できると言われているが、扱いが難しいという欠点があった。
ニューヨーク・タイムズによると、スタンフォードのチームはまずCNTでトランジスタを作り、これを142個つなげて期間18カ月で完全なコンピュータを作り上げた。実際に機能し、簡単な演算と分類が同時にできるという。研究報告書は英科学誌ネイチャーに掲載された。
現在、ほとんどのコンピュータはシリコン基板のトランジスタでできており、トランジスタ1個の大きさは22ナノメートル(nm、1ナノは10億分の1)が現在の標準だが、約2年ごとに小さくなっており、2020年以降には5nmという限界に達すると考えられている。
今回作成されたコンピュータのCNT製トランジスタは、大きさが1ミクロン(100万分の1メートル)と22nmに比べれば「巨大」だが、正しい演算ができる「チューリング完全」(計算完備)な機械だという(スタンフォードのフィリップ・ウォン氏)。
IBMトーマス・J・ワトソン研究センターのスプラティック・グハ氏は、「実に優れた研究だと思う。汎用コンピュータまたはチューリング完全な機械の製作にカーボンナノチューブが使えるという初歩的な実証」と高く評価している。
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします
最近のニュース速報
-
インフルエンサーとブランドをつなぐプラットフォームで台頭 〜 ショップマイ、1850万ドルを調達
-
シンケイ・システムス、魚の活け締め技法を機械化 〜 完成に接近、鮮魚流通網に革新をもたらす可能性
-
ドキュサイン、インテリジェント契約管理サービスを発表 〜 電子署名ソリューション以外に事業を拡大
-
2024年4月29日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
米商務省、TSMCのアリゾナ工場への投資を提案 〜 米中緊張悪化を背景にチップの国産化に重点
-
ディープフェイク、金融サービス業界をいよいよ標的に 〜 生成人工知能による音声模倣で詐欺急増は必至
-
2024年4月25日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
広告嫌いのテスラが一転、積極展開
-
ビットコイン半減は価格にいかに影響するのか 〜 最高値更新から乱高下、次の半減期が目前に
-
2024年4月22日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
ボルティモアの橋崩落、輸出・小売業者に影響
-
米国のMBA課程、人工知能分野の教育を積極化 〜 会社で求められる技能に学生側も関心を強める
-
2024年4月18日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
テスラ、急速充電網を開放~EV普及の節目となるか