周波数帯の獲得で対立〜自動車とCATV業界

 自動車メーカーとケーブルテレビ(CATV)業界の間で、通信用周波数帯の争奪戦が起きており、割り当ての権限を持つ連邦通信委員会(FCC)は分割供与など円満な解決法を探っている。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、自動車業界は現在、交通混雑の緩和を目的に車が他の車や信号など道路沿いの施設と情報交換できる車車間・路車間通信技術の導入を進めており、そのための周波数域を確保しようとしている。

 しかし、周波数帯の混雑が激しくなっているケーブル業界やハイテク業界は最近のFCCとの会合で、無線インターネット接続(Wi-Fi)サービス用に周波数帯の追加割り当てを要求した。ケーブル大手コムキャストは「急速なWi-Fi需要の高まりに応えるためには、近く5ギガヘルツ(GHz)帯のWi-Fi利用を増やすことが不可欠」と主張している。

 当局は1999年、自動車業界に、携帯電話には使えないが短距離通信には使用可能な波長の短い5GHzの周波数帯を割り当てた。ところが今年、FCCが5GHz帯をWi-Fiと共有する案を業界に打診したところ、「共有は車車間通信に悪影響を及ぼし、安全性に支障が出る」との強い反発に遭った。

 一方のケーブル業界は「両業界が干渉なく周波数帯を共有することは可能だ。自動車業界が使っていない5GHz帯の低域をただちにWi-Fi用に開放すべき」と要求している。

 最終判断はFCCが下すが、1日に予定されていた下院小委員会の公聴会は、政府機関の閉鎖で実現しなかった。

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