ごみから出たメタンを燃料に〜加州企業が販売開始
- 2013年10月4日
- 米国ビジネス
輸送用天然ガス燃料の販売大手クリーン・エナジー・フューエルズ(カリフォルニア州)は3日、ごみの埋め立て場などから出るメタンを集めて作った燃料「リディーム(Redeem)」の販売を、同州内に所有するガス補給所40カ所以上で開始した。
ニューヨーク・タイムズによると、同社は全米で天然ガスの補給所を運営しており、リディームについても今後販売網を広げる計画。カリフォルニアでは年内に1500ガロンのリディームを販売する予定で、これは環境保護局(EPA)が予想するこの種の燃料の全米生産量の2倍に相当する。
同社の取引先には、AT&T、ベライゾン、マテル、ウィリアムズ・ソノマのほか、車を大量に所有するスーパーシャトルやハーツなどが含まれる。
業界関係者の多くは、ごみ捨て場や家畜のふん、下水汚泥などから発生するメタンを使った燃料の開発ペースの速さに驚いている。開発が急速に進んだ背景には、地下のシェール(けつ岩層)から採取される新型天然ガスの生産増でメタンの供給量が大幅に増加したことや、カリフォルニアをはじめとする州政府が環境政策を協力に推進したことなどがある。
リディームの生産コストは通常の天然ガス燃料より割高だが、販売価格は同じで、ディーゼル燃料より安く、石油製品のように地政学的問題による価格変動の心配もない。しかもごみから出るメタンは再生可能なエネルギー源であり、収集や処理にかかるエネルギーも少なくて済むため、環境面で実績を高めたい企業にとっては魅力が強い。
メタンは二酸化炭素より強力な温室効果ガス(GHG)であり、大規模農家や下水処理会社、ごみ処理会社などは副産物のメタンを集めて輸送や発電に使おうと新しい技術の開発に取り組んでいる。
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします
最近のニュース速報
-
2024年4月29日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
米商務省、TSMCのアリゾナ工場への投資を提案 〜 米中緊張悪化を背景にチップの国産化に重点
-
ディープフェイク、金融サービス業界をいよいよ標的に 〜 生成人工知能による音声模倣で詐欺急増は必至
-
2024年4月25日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
広告嫌いのテスラが一転、積極展開
-
ビットコイン半減は価格にいかに影響するのか 〜 最高値更新から乱高下、次の半減期が目前に
-
2024年4月22日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
ボルティモアの橋崩落、輸出・小売業者に影響
-
米国のMBA課程、人工知能分野の教育を積極化 〜 会社で求められる技能に学生側も関心を強める
-
2024年4月18日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
テスラ、急速充電網を開放~EV普及の節目となるか
-
2024年4月15日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
EV生産コスト、27年にはガソリン車より安く~ガートナーが予想
-
人間の労働力の方が人工知能より安価 〜 MITの研究、雇用機会の大部分は人工知能にまだ奪われないと結論
-
ドローン配送に現実味~運用範囲広がる