アイスランド、データ・センター産業に注力〜再生可能エネルギーを武器に

 アイスランドは、豊富で安価な再生可能エネルギーの利点を生かしてデータ・センター産業を強化しようと、データ・センター業界への売り込みをいっそう積極化させている。

 データ・センター・ノーレッジ誌によると、火山地帯に位置するアイスランドは、国内の大半の世帯の暖房を賄うのに十分な地熱エネルギーがあり、また、川や滝では水力発電が盛んに行われ、一年を通じて強風の吹く日も多いため風力発電にも適している。

 電力を大量に使うアルミニウム産業においてアイスランドが欧州の主要拠点となっているのは、安価な電力の魅力が大きい。アイスランド最大の電力会社であるアイスランド国営電力会社(Landsvirkjun)の発電量の80%を使用しているのがアルミニウム産業だ。

 ただ、データ・センター産業への訴求となると、立地の問題がかかわってくる。首都レイキャビクはニューヨークから2600マイル、飛行機で5時間の距離だ。海底光ファイバー・ケーブルを介してデータを伝送するには約40ミリ秒かかる。環境配慮に敏感なデータ・センター業界とはいえ、どこまで距離を乗り越える意思があるかが試されるところだ。

 これまでのところ、データ・センター業界の反応はやや控えめだ。レイキャビク地域には二つのマルチテナント・データ・センターがある。運営会社のヴェルヌ・グローバル(Verne Global)とアドヴァニア(Advania)は、モジュラー式の設計を採用し、再生可能エネルギーを100%利用して、寒冷な自然環境を生かした冷却方式を使用している。

 これまでに、BMWやデータパイプ(Datapipe)、RMS、CCPゲームズ、オペラ・ソフトウェアがそれらのデータ・センターの顧客となっている。

 アイスランドは人口が31万8000人と少なく、国民が必要とするよりもはるかに多くの天然資源を有している。人口一人あたりの発電量は54ギガワット時で世界最高。そのうち約75%が水力で、残りは地熱で賄われており、代替エネルギー率100%を実現した唯一の国だ。

 国内の電力価格は1キロワット時4.5セントで、大口顧客には割引があり、12〜20年の長期契約が可能。米国やイギリや、ドイツといった消費大国で電力価格が変動することを考えると、大きな魅力と言える。

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