大手小売チェーン、実在店舗を流通センターに 〜 歳末商戦のアマゾン対策
- 2013年12月12日
- ハイテク情報
米小売業界では、オンライン購入客の注文品をいかに効率的に配達するかが重要なカギと位置づけられるようになり、実在(物理的)店舗を配送センター代わりに活用する小売チェーン大手が増えている。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、歳末商戦期における成功はこれまで、経済状況や価格、人気商品の有無などにかかっていたが、昨今ではそれに加えて、配達が競争力を左右する主な要因になっている。
メイシーズやウォルマート、オフィス・ディーポといった実在小売店舗チェーン大手は、オンライン小売最大手のアマゾンに対抗するための宅配最適化戦略を最優先事項として位置づけ、需要に応じて商品を店から店へ、倉庫から店へ、店から購入者へと素早く動かしている。
現在、小売店の約3分の1は、実在店舗をオンライン注文の出荷拠点にしており、26%はそういった体制を現在整備中だ。
調査会社イーマーケターによると、オンライン販売は小売全体成長率の4倍のペースで伸びており、オンライン消費者は実在店舗のみで買い物する客より平均20%多く支出する。
実在小売チェーン大手はそこで、オンライン客を取り込むために、各店舗の在庫を確認して品切れや過剰在庫による販売機会喪失および値引きを最大限に回避すると同時に、オンライン注文品を最短かつ最低コストで配達する体制整備に注力している。
その背景には、小売チェーンと配送サービス大手のUPSやフェデックスの提携がある。
たとえば、シアーズの場合、UPSが全注文の出荷状況を示すソフトウェアと注文追跡番号をシアーズに提供し、注文品が配達先の最寄りのシアーズ支店になければそのソフトウェアによってシアーズのオンライン部門と実在店舗の全在庫を調べ、当該商品を置いている場所から発送する体制を可能にした。
配送は小売店にとって非常に重要で、オンライン購入者の半数は最低価格か無料配送が提供されれば購入し、送料がかかる小売サイトを無視する傾向が強い。
通常、アマゾンと互角に戦うには多くの配送センターを運営する必要があるが、シアーズはKマートと併せて国内に約2000件ある店舗を活用し、客の80%を翌日地上配送でカバーする配送戦略を構築した。全米に散在する支店を流通センターとして機能させることで、配達コスト抑制と時間短縮を可能にした格好だ。
Kマートとシアーズでは、歳末商戦期での販売増を図るために、オンライン部門と実在店舗を融合させる専門要員を27店舗に配備し、注文処理能力を30%高めることで12月のピーク期間に1日2万件の注文をさばく予定だ。
一方、高級百貨店のサックスはフェッデックスと提携することで、オンライン注文に43店舗が対応し、在庫と場所の関係に基いて最も効率的となる支店がフェデックスに配送注文を入れるシステムを構築した。
サックスでは、実在店舗内で処理するオンライン注文比率が過去1年間に約8%から15%に増加している。
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