アップル、EVや医療機器に興味〜家電以外の可能性を模索

 スマートフォンやタブレットの販売減速で新しいビジネス展開が注目されるアップルは、自動車や医療機器分野に強い関心を示している。

 サンフランシスコ・クロニクルが関係者の話として伝えたところによると、アップルの買収・合併責任者であるエイドリアン・ペリカ氏は昨春、カリフォルニア州クパティーノのアップル本社で電気自動車(EV)専業テスラ・モーターズのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)と会った。

 シリコンバレーの巨大企業の上席幹部同士が会談したのは、アップルがテスラ買収に大きな関心を持っているとアナリストらがほのめかしていた時期に重なるという。

 アップルは一方、医療機器、特に心臓発作を予知できるセンサー技術にも関心を持っており、THXや10.2サラウンドサウンドを開発したオーディオ・エンジニアのトムリンソン・ホルマン氏が中心となって進めている動脈内の血流音で心臓発作を予測する技術に注目しているという。

 エドワード・ジョーンズ・インベストメンツのアナリスト、ビル・クレハー氏は「アップルが故スティーブ・ジョブズ前CEOのビジョンを越えて再び成長するためには、新商品への依存度を高めなければならず、次の大きな何かが必要」と指摘する。

 アップルは2009年にゴールドマン・サックスからペリカ氏を引き抜いた後、さまざまな事業の買収を加速させており、今年1月に開示された情報では、前四半期の買収支出は5億2500万ドルと前年全体の2倍近くに上っている。「アイフォン」や「アイパッド」は依然として強い人気があるが、米国のスマホ、タブレット市場は急速に成熟しつつあり、アップルは国内外でアンドロイド系携帯ディバイスとの激しい競合に直面している。

 EVや心臓モニターなどは、以前からうわさされている「アイウォッチ(iWatch)」やグーグルの「グーグルグラス」といったウェアラブル・ディバイス(装着式端末)とはまったく異なる分野だが、それゆえに意味があるとの見方もある。ドイツの投資銀行アナリスト、アドナーン・アーマッド氏は、13年10月にアップルのティム・クックCEOや取締役会あてに「アップルはテスラを買収すべき」と提案する公開書簡を送っている。

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