テネシー・ウィスキーの定義、見直し審議は来年まで休止

 テネシー州議会は25日、テネシー・ウィスキーの定義を見直す審議をいったん休止し、結論を出すのは来年以降に先送りした。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、事の発端は、同州が昨年「テネシー・ウィスキーと表示できるのは、州内で、原料にトウモロコシを51%以上使い、サトウカエデの木炭でろ過し、内側を焦がした新品のオーク樽で熟成させたものだけ」という規定を導入したことにある。

 この定義はテネシー・ウィスキーのベストセラーであるブラウン・フォーマンの「ジャック・ダニエル」の製法に則っているため、蒸留酒の世界最大手英ディアジオが「他メーカーにジャック・ダニエルの複製を強いることなく、もっと柔軟な生産方法が認められるべき」と抗議した。

 ディアジオはスコッチの「ジョニー・ウォーカー」などで知られるが、テネシー・ウィスキーも米2位の「ジョージ・ディッケル」ブランドを持っている。

 25日は、州政府の委員会がテネシー・ウィスキーの定義を「州内で製造されたウィスキー」と単純な内容に修正する案を審議したが、他にも多くの提案があり、結局合意には至らなかった。

 議長を務めたライアン・ヘインズ下院議員は「このように混乱した場合、少し離れて問題をじっくり検討することが道理にかなっている」と説明。同氏自身は議会がテネシー・ウィスキーの製法を規定したのは間違いだったと考えており、「政府が作り方を成文化するのは間違いで、議会が関与すべき問題でもない」と述べた。

 一方、同州法の支持者は「厳しく規定することでテネシー・ウィスキーが独自なものになる」と見ている。メーカーは昨年の規定の順守に3年の準備期間が与えられている。

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