固定電話、消滅は時間の問題か〜各州で提供保証の見直し進む

 通信大手AT&Tやベライゾン・コミュニケーションズは、銅線を使った従来の地上固定回線電話サービス(POTS)の廃止を訴えるロビー活動を続けており、その結果規制の変更に踏み切る州が増えている。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、電話会社は、POTSをインターネット基盤(IP)のシステムに切り替え、家庭向けにウェブ接続、ケーブルテレビ、電話サービスなどを提供しているブロードバンド通信網に統一したいと考えている。

 ミシガン州では3月下旬、住民に固定回線電話の利用を保証する規制が撤廃された。これで固定電話の存続に必要な規制がなくなった、あるいは撤廃が検討されている州は30を超え、カリフォルニア、フロリダ、テキサス、ジョージア、ノースカロライナ、ウィスコンシン、オハイオなどでは約3年以内にPOTSが最新システムに切り替えられる予定となっている。

 ベライゾンは、2012年秋のハリケーン「サンディ」で壊滅的打撃を受けたニュージャージー州モントロキングの固定回線システムをすべて同社の無線電話サービス「ボイスリンク(Voice Link)」に切り替えたいと考えており、実現すれば初めて固定回線の存在しない町が生まれる。しかし州議会は、クレジットカードの処理や警報システムなど、無線通信では扱えない機能が失われることを懸念して1年の猶予期間を置くよう求めており、関連法案の議決が今月予定されている。

 米国では現在、成人の38%以上、未成年の45.5%が固定電話のない家に住み、無線電話世帯の構成比が3年前の26.6%から39%に拡大して、固定電話だけの世帯はわずか8.5%となっている。しかし固定回線がなくなると、セルタワー(信号中継塔)が少なく4G(次世代高速無線)サービスが制限されている辺地の住民などは不便を強いられる可能性がある。

 また、固定回線からの緊急通報(電話番号911)はオペレーターが正確な発信地を部屋番号まで特定できるが、携帯電話ではそこまでできず、特に電波が届きにくい田舎では難しい。

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