郵便局、大口の小包料金を最大58%値下げ

 米国郵政公社(USPS)は、年末商戦に向けオンライン小売店の小包取扱量を増やすため、大口顧客に対する大幅な値下げを実施する。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、USPSは8月、年間5万個以上を発送する顧客の一部のプライオリティ・メール料金について、58%の引き下げを政府の郵便規制委員会(PRC)に認められた。

 郵政公社はPRCへの申請書類で「従来の価格では高すぎて競合できない」と説明したが、競合するユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)とフェデックスの宅配大手2社は「ほぼ独占状態の地位を活用して、急成長するeコマース分野の小包取り扱いを不当に拡大しようとしている」と反発している。

 値下げ発表を受けて、eコマース企業の中には郵政公社の利用をすでに決定した、または検討しているところもある。発送戦略コンサルティングのシップウェア(Shipware)のロブ・マルティネス社長は「多くの荷主が郵便局のサービスに再び注目している」と話した。

 フォレスター・リサーチの調査では、2013年の国内オンライン小売業者向け配送サービスの市場規模は2630億ドル。巨額の赤字にあえぐ郵政公社は近年、さまざまな新戦略に取り組んでおり、アマゾンとはすでに20地区以上で日曜配達で提携し、サンフランシスコでは生鮮品配達も試行中だ。郵政公社は過去23四半期中、21四半期で損失を計上している。

 今回の大幅値下げは、消費者に直接の利益はないものの、eコマース企業が配送無料サービスを提供しやすくなる。一方のUPSとフェデックスは、7月にそれぞれ地上配送料金の実質値上げを発表した。小売店からの軽量でかさばる荷物を減らすため、15年からは重量ではなく寸法による課金を始めるほか、燃料や辺地への配達などに追加料金を請求する予定だ。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 今年、UCを卒業するニナは大学で上級の日本語クラスを取っていた。どんな授業内容か、課題には...
  2. ニューヨーク風景 アメリカにある程度、あるいは長年住んでいる人なら分かると思うが、外国である...
  3. 広大な「バッファロー狩りの断崖」。かつて壮絶な狩猟が行われていたことが想像できないほど、 現在は穏...
  4. ©Kevin Baird/Flickr LOHASの聖地 Boulder, Colorad...
  5. アメリカ在住者で子どもがいる方なら「イマージョンプログラム」という言葉を聞いたことがあるか...
  6. 2024年2月9日

    劣化する命、育つ命
    フローレンス 誰もが年を取る。アンチエイジングに積極的に取り組まれている方はそれなりの成果が...
  7. 長さ8キロ、幅1キロの面積を持つミグアシャ国立公園は、脊椎動物の化石が埋まった岩層を保護するために...
  8. 本稿は、特に日系企業で1年を通して米国に滞在する駐在員が連邦税務申告書「Form 1040...
ページ上部へ戻る