重複感染者に脳死肝移植 薬害HIVとC型肝炎

 【共同】薬害でHIV(エイズウイルス)とHCV(C型肝炎ウイルス)に重複感染し、肝硬変が進行した40代の男性が6月、九州地方の病院で脳死肝移植を受けていたことが8日、関係者への取材で分かった。重複感染での肝硬変はHCV単独感染の場合より生存率が低く、移植の優先順位となる医学的緊急度が2012年に引き上げられており、これに基づく初の移植。

 薬害HIV被害者の支援団体はばたき福祉事業団によると、脳死肝移植の待機登録をしている重複感染者は他に少なくとも3人いる。被害者約800人を調べた結果、97%がHCVに重複感染していたとの研究データもあり、同事業団は「治療の新たな道が開けた」と評価している。

 関係者によると、男性は東海地方在住で、昨年夏に日本臓器移植ネットワークに登録。今年6月、脳死提供された肝臓の移植手術を受けた。執刀医は「厳しい病状だったが、現在は仕事に復帰するなど社会生活に戻られており、手術は成功といえる」と話す。

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