グーグル、新興のオンライン保険会社に投資 〜 生命科学事業との提携も視野
- 2015年9月21日
- ハイテク情報
グーグルの投資部門グーグル・キャピタル(Google Capital)は、2012年に設立された新しい医療保険会社オスカー・ヘルス・インシュランス(Oscar Health Insurance)に3250万ドルを投資した。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、オスカーは、データ分析や技術を使って保険事業を簡素化させ、インターネット・サービスのように機能させようとしており、これまでに3億5000万ドルの資金を調達している。今回の投資獲得によってオスカーの企業評価額は、2015年4月の15億ドルから17億5000万ドルに上昇し、ユニコーン(企業評価額が10億ドル以上の振興私企業)の代表的企業の一つと位置づけられる。
オスカーが現在事業展開しているニューヨークおよびニュージャージー地区では、4万人以上が契約しており、2016年初頭にはカリフォルニアとテキサスでもサービスを開始する計画。
共同設立者のマリオ・シュロッサー最高経営責任者(CEO)は、「他社が開発した新しい医療技術の導入促進を支援することが目標の一つ」だと話す。
グーグルの生命科学部門は、製薬大手ノバルティスとともに、涙を使って血糖値水準を追跡するコンタクト・レンズを開発しており、オスカーと協力してそういった新しい医療品の保険適用拡大を図っていく可能性がある。
シュロッサー氏は、「それらのコンタクト・レンズを患者に提供する役割を果たすだれかをグーグルは必要としており、その相手には何らかの経済的利点がなければならない。われわれはそれらすべての点を結ぶことができる」と話している。
オスカーは、2010年の医療保険改革法によって設立されたオンライン保険エクスチェンジを通して顧客を集めている。ほとんどの保険大手と違って、雇用主ではなく個人との契約に注力している。
平均的な顧客の支払額は年間5000ドル。個人市場を直接狙う戦略は、既存の業界大手に対抗する価格を提供しなければならないため、非常に難しい。一般的に、保険料金は、加入者が増えると引き下げやすいが、加入者が少ない新参企業は、ある程度の占有率を獲得するまで、業務継続を支える資金が必要となる。
オスカーの2014年売り上げは5690万ドルで、資金の一部は2750万ドルの損失穴埋めに回されているが、損失は新技術への投資に起因することから、医療サービスの提供という中核事業では黒字だという。
同社は45人の技術工学者を雇用して、患者と医師を結ぶツールを構築しており、顧客には無料の運動量追跡機器や、 医師と患者を10分以内に電話でつなぐ遠隔医療サービスへの無制限アクセスも提供している。
グーグル・キャピタルのデイヴィッド・ラウィー氏は、「消費者のために医療費の削減を促進する可能性をオスカーが秘めているため、投資を検討した新興医療関連企業のなかでもオスカーが突出していた」「技術を使って医療費曲線を変えることができる可能性という点で、オスカーはきわめて有望な存在だ」と評価する。
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