デルのEMC買収と中国の技術業界 〜 ファーウェイとレノボに大きく影響か

 技術会社同士の買収として史上最高額の670億ドルというデル(Dell)によるEMC買収案に対し、中国規制当局が横やりを入れるかどうかは関心事の一つだ。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、中国は、同買収案に対し異議を唱えないだろうと専門家らはみているが、中国を代表する技術企業に少なからず影響を及ぼすことは確実だ。

 消費者向けや中小企業向けのパソコン販売を中核事業としてきたデルにとって、EMCを買収することは、大企業向け事業への重点移行という大きな方向転換を意味すると同時に、デルとEMCの合併会社は、中国のストレージ市場でファーウェイ(華為=Huawei)を抜き返して最大手に躍り出る。

 米調査会社IDCによると、EMCは2014年に中国ストレージ市場で16.8%の占有率を握り首位だったが、2015年の上半期にファーウェイに追い抜かれた。同期にデルは5.3%で6位だった。デルとEMCの合併によって、ファーウェイは2位に後退する。

 デルによるEMC買収案報道からまだ二日しか経っていない現在、中国政府からの談話発表はない。

 香港のバーンスタインのアルベルト・モエル氏は同件について、デルとEMCが合併しても、中国ストレージ市場を牛耳る状態からはほど遠く、ファーウェイとの競争原理に支障をきたさないと指摘し、中国規制当局からの異議はないだろうと話している。

 ただ、中国への影響はそのほかにもある。中国のパソコン大手レノボ(Lenovo)とEMCは過去2年間に、データ・ストレージを中小企業に販売する事業で合弁会社を運営してきた。デルはEMC買収を機に、その合弁事業を解消する見込みだ。レノボにとっては対応を迫られることになる。

 また、ファーウェイは、大企業向けのクラウド・ストレージ事業を中国市場と国外市場で強化する戦略を進めているため、デルによるEMC買収によって、激しい競争に直面することも確実だ。

 レノボもファーウェイも、法人向けIT市場において国際的存在感を劇的に高める野心を掲げており、ヒューレット・パッカードやネットアップ、IBMとの国際競争をすでに強めている。

 レノボとファーウェイはこれまで、デルおよびEMCとそれぞれに競争してきたが、これからは、デルとEMCの合併会社を相手に厳しい競争を強いられることになる。

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