シリーズ世界へ! YOLO③ タイ〜水と仏の国 前編

文&写真/佐藤美玲(Text and photos by Mirei Sato)

Photo © Mirei Sato

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新年を告げるシャワー

 チェンマイは、13世紀にランナータイ王朝の都として栄えた。市内には約300の寺院や遺跡があり、街の中心部1・5キロ四方は、当時の城壁とお堀、五つの門で囲われている。

 その一つ、ターペー門のそばを通ると、タイの国花「ゴールデンシャワー」(タイ名「ラーチャプルック」)の黄色い花が満開に垂れ下がっていた。この花が咲くと、チェンマイの人たちは「正月が来た」と実感するそうだ。私たちを乗せたソンタウの横を、黄色い花びらで飾り付けたトゥクトゥク(三輪自動車)に乗ったおじさんが、ニヤっと笑って通り過ぎた。

健康で幸せであってほしい家族や恋人の名前を書き、黄色い花やお札と一緒に捧げるPhoto © Mirei Sato

健康で幸せであってほしい家族や恋人の名前を書き、黄色い花やお札と一緒に捧げる
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 ソンクラーンは、サンスクリット語で新しい年の始まりを意味する。花だけでなく、人間や動物にも生命力がみなぎる季節。多くの人は休暇を取って故郷に帰り、祖先を敬い、家族や親戚との絆を深める。ちなみに今年は、旧暦2554年だ。

 市内の各寺院では、特別祭事が行われている。ほかのライターと合流して、見学に出かけた。普段はお堂の中に祀られている仏像が外に運び出され、山車に乗せられていた。大勢の参拝客が祈りを捧げ、仏像に向かって、香りのついた聖水を投げかける。人々は山車から伸びた綱を引っ張り、これに太鼓やダンスも加わって、聖水をかぶりながら、街中をゆっくりとパレードしていく。

仏像を山車に乗せて祈りを捧げ、聖水をかけながら、市街地を練り歩くPhoto © Mirei Sato

仏像を山車に乗せて祈りを捧げ、聖水をかけながら、市街地を練り歩く
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 仏像たちが通り過ぎた後、お堀の周りでは、今やソンクラーンの代名詞になっている有名な「水かけ」が始まる。

 4月のタイは、30度以上の日が続く、1年で一番蒸し暑い時期だ。農村では、作物が干上がって萎れ、恵みの雨をもたらすモンスーンが待ち遠しくなる。それが「水かけ」の儀式となって始まった。もともとは、お年寄りの手に香りのついた水をかけたり、お互いの肩や背に優しく水をかけて新年の挨拶を交わしたり。そして、石灰を水で溶いた白い粉を、魔除けの意味で顔や体に塗る、というものだった。

 ところが、今の水かけは…。ユーチューブで検索してみるといい。手に背に水鉄砲を装備した若者や外国人が、奇声を上げながら通りかかる人をビショ濡れにする、ウェット&ワイルドパーティーと化している。アメリカを出発する前、何人かの友人から、「ソンクラーンに行くならカメラや濡れて困る洋服は持って行かないように」「汚い水がかかるから気をつけて」と注意されていた。

 しかし、タイ政府観光庁は、私たちのために特別に、オープンカーのジープを用意してくれていたのだ。

山車の出発を待つ子供たちPhoto © Mirei Sato

山車の出発を待つ子供たち
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黄金色に輝く山車
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