第52回 犬と教育
文&写真/寺口麻穂(Text and photos by Maho Teraguchi)
- 2013年1月5日
新年明けましておめでとうございます。愛犬との今年の目標立てましたか? 私の目標はもちろん愛犬ノアと毎日楽しく過ごすことですが、もっと大きな意味での目標は今年も「犬のために人と対話すること」です。あらゆる機会を通じて人と対話を続け、人間の犬への理解を深めていきたい。なぜなら、愛する犬を助けるのに一番大事なことは人間の教育だと信じているからです。今回は犬と人間の関係において私が哲学としている「犬のための人間教育」についてお話します。
犬は人間に100%依存
人に飼い慣らされるようになった時から、犬は生活の100%を人間に依存しなければならなくなりました。住む所も、身を守るのも、食べ物の確保も。ペットとなった犬たちは排泄も健康管理もしつけまで人間に頼っています。ということは全てをゆだねられた人間が責任をもって犬を幸せにしなければならないのですが、ちまたにはかわいそうな思いをしている犬がたくさんいます。犬一匹くらい…と、さも簡単に犬を飼う人が多過ぎます。反対にお金も愛情も人一倍かけ、自分では150%頑張っているつもりでも、結果がうまく結びつかず空回りになっているケースも少なくありません。それは人間が犬を十分理解していると勘違いしているところにあります。しかし人間の犬への理解はまだまだで、もっともっと犬を知る必要があると日々感じています。
では人間は何を学ばなければいけないのか? それは犬の全てです。人間には犬を理解し守る責任があります。ポイントは、犬が犬として幸せであることなのです。犬が犬として幸せということはどういうことか? それは、犬を擬人化せず、犬の習性を理解し、犬の視点に立って犬に必要なものを与えてくれる人間が横にいることです。同時に、犬という生き物の真の素晴らしさを見つけるのも飼い主の務めではないでしょうか。犬が飼い主を信頼し尊敬する時、犬は一番美しい姿をみせます。飼い主として愛犬に犬の真の美しさを出させてあげる。それが本当の意味の犬と飼い主の関係なのです。また、子供たちも幼い時から犬を命あるものととらえ、犬との正しい接し方を学び、また犬の素晴らしさを体験できれば、将来大きくなっても命あるものを大切にできる大人に成長するはずです。
さらに期待したいのは、動物愛護活動家の人間教育へのより深い関わりです。一匹でも多くのホームレス犬を救う活動はもちろん大切ですが、簡単に捨てる人間を変えない限り問題は解決せず、同じことの繰り返しが続くばかり。犬を愛し、理解する活動家たちが今後、一般人への犬教育(例:去勢・避妊の教育、犬を飼う最低限の責任とルール、犬のボディーランゲージ、健康学など)と飼い主へのサポートにもっと力を入れてくれることを望みます。
「犬を学ぼう!」
目標実行のためにと去年の秋から犬の勉強会を始めました。長い間考えていたのですが、今回グルーマーの友人の協力を得てやっと実現できました。「犬を学ぼう!」と題し、犬を飼っている人もそうでない人も、とにかく犬を勉強したいという人たちを集めてのセミナーです。マンハッタンで活躍中の日本人獣医師にも早速ゲスト講師で犬の健康学の講習をしてもらいました。新年にはグルーミングの基本講座と、しつけ・行動学の勉強を予定しています。それに加えグループクラスや愛犬と公園などを歩くパックウォークの集い、またシェルター見学などのアクティビティーも計画中。とても意気込んでいます。人間に100%依存している犬を助けるには人と向き合うこと。今年もこの「ドギーパラダイス!」でも、「犬を学ぼう!」講習会でも、どんな機会でも自分自身も含めた人間教育に力を注ぎ、愛する犬たちのために頑張ります。
次回は、「ボランティア活動」をお話します。お楽しみに!
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