第57回 家庭内の不一致
文&写真/寺口麻穂(Text and photos by Maho Teraguchi)
- 2013年6月5日
今朝も散歩中に愛犬ノアの親友ルークとその飼い主に遭遇。犬たちは遊び始め、私たちも座って犬の話を始めました。すると疲れた顔のルークの飼い主が悩みを告白。ガールフレンドも犬を飼っていて、週末は必ず愛犬を連れて泊まりに来る。犬同士けんかはしないものの、仲が良いということもなく、お互いストレスになっている様子。また、どちらかの犬が問題を起こすと自分と彼女がなじり合いになる。お互い相手からの犬のアドバイスは、聞く耳持たずの最悪の状態だと。「せっかくの週末が犬のことでけんかばかり」とこぼしていました。実はこの手の犬をとりまく家庭内の意見の食い違いやけんか、本当によく耳にします。
誰の犬?
家庭内の犬に関する意見の食い違いの具体的な例として、①一人が一生懸命しつけに精を出すのに、ほかが甘やかすなど、非協力的で全部水の泡にしてしまう、②愛犬の去勢・避妊に対する意見の違い(特に男性が雄犬の去勢に異常な抵抗を示す)、③自分は犬など飼いたくなかったのに勝手にほかの家族が連れてきた。自分の犬ではないから世話に関わらない、④ごはん、散歩など責任のなすり付け合い、⑤一人が犬に愛情を注ぎすぎ、ほかの家族がしっとや放棄された気分を味わう、⑥しつけ方針が根本的に食い違いすぎるなどです。これらの家族の不一致が原因で犬が問題行動を起こす。すると人間同士もいらいらしてけんかになる。悪循環です。
私は日ごろから、犬の問題は人間の問題と話しますが、家庭内の意見の不一致で起こる犬の問題はまさに人間の問題です。子供も家が不調和だと情緒不安定になりやすく、問題行動を起こしたり、非行につながったりするケースが少なくないと言います。まだ子供なら家族の意見がばらばらでも、そのうち「おばあちゃんならいいや」「お父さんの前ではこう」と使い分けができたりもしますが、犬の場合はそういうことができないので混乱する一方です。犬のしつけで大切なことは継続性と統一性。これと決めたことはきっぱり通し、ずっと続けないと効果がありません。そして、複数で飼っている場合は、全員が一致してないといけません。一つ屋根の下に住んでいる限り、ルームメートであれ親子・夫婦であれ、犬にとっては全員が自分のパック(群れ)です。だから、人間が勝手に決める「誰の犬」というのは犬には理解できません。みんなが一つになって「私たちの犬」という気持ちで育てましょう。また、飼う前の、家族の意見の一致と確認も非常に大事です。みんなの反対を押し切り独断で強引に進めても良い結果につながりにくいでしょう。
問題解決には
犬を育てる際に生じる問題には、みんなが歩みよってそれぞれの意見を聞き合い、感情的にならずに、愛犬を含めた家族全員にとって最適かつ現実的な案を探し出すことが大切です。しかし、「言うは易し、行うは難し」。人間同士の意見の合致は、そう簡単にいかないこともあります。家族内だけで解決が難しいなら、信頼できる人に仲介に入ってもらうのがいいでしょう。犬の専門家(獣医・トレーナーなど)が必要な場合もあれば、専門家でなくても家族みんなが信頼・尊敬できる人に入ってもらうことで事態が改善するかもしれません。犬の問題くらいで…と思いがちでしょうが、犬に関することでの意見の食い違いが深刻になる場合も多いです。そしてそれは犬にとって大変なストレスにつながり、問題行動や病気を引き起こすことになりかねません。また人間にとっても家はほっとできる「巣」であるべきなので、全員のハーモニーを整えることに努めたいものです。
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