シリーズ世界へ! YOLO⑮
Pura Vida! コスタリカ 後編
文&写真/佐藤美玲(Text and photos by Mirei Sato)
- 2013年10月20日
Dominical ドミニカル
コスタリカの太平洋岸は、カリブ海の熱帯雨林ジャングルや、雲と霧に覆われた高山、火山、ぬかるんだ森とは、まったく別の顔を見せてくれる。
サベグレ川が太平洋に流れ込む地点から、ちょっと南へ下ったところに、ドミニカルはある。あるというより、寝そべっていると書いたほうがピッタリくる。「サーファーに人気のスポット」と聞いていたので、にぎやかで陽気なビーチをイメージしていた。確かに波は荒い。けれど、どこか寂しげな海岸だ。
「あ、コスタリカの海軍です」。ツアーガイドが指さすのは、ブルーグレーの空に舞う鳥の群れだった。
ボートに乗って海へ。いったん沖合に出てしまえば、のんびりしたトロピカルな雰囲気だ。ヤシの木やマングローブの森、ペリカンやホワイト・アイビス(white ibis=シロトキ)…。海から見るコスタリカの国土は、やっぱり緑が多い。山の上には雲や霧がうっすらとかかっていて、それが湿気を運び、緑をさらに濃く豊かにしているのだろう。
水平線の上を、黄色い蝶がひらひらと飛んでいた。海で蝶を見るなんて、なんだか詩のような世界だ。「てふてふが一匹 韃靼海峡を渡って行った」。中学の国語の授業で習った安西冬衛の詩を、急に思い出した。この蝶はどこへ行くのだろうか。
海岸沿いをドライブする。牧歌的な風景が続く。アフリカのサバンナに生えていそうな、傘のような形の木の下で、牛や馬が草を食み、牛追いの少年がヒマそうに座っている。
木々の間をよく見ると、カラフルなスカーレット・マカウ(scarlet macaw=コンゴウインコ)がたくさんいる。
川沿いの一角に大量のワニが寝そべっていて、そのすぐそばで牛や鳥が群れているのだが、誰も気にしていない様子。ツアーガイドいわく、「ここの川は栄養がいっぱいで、ワニは食べ過ぎ、太り過ぎなぐらい。無理して動物を襲う必要がないから大丈夫ですよ」。
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