シリーズ世界へ! YOLO⑮
Pura Vida! コスタリカ 後編

文&写真/佐藤美玲(Text and photos by Mirei Sato)

 

マスカラーダス。仮面をかぶって群衆を脅かしつつ、楽しませる Photo © Mirei Sato

マスカラーダス。仮面をかぶって群衆を脅かしつつ、楽しませる
Photo © Mirei Sato

Cartago カルタゴ

  カルタゴは1823年までコスタリカの首都だった。サンホセに比べると都会的な雰囲気はまったくないが、ローマンカソリックの大聖堂があり、古都の品格と面目を保っている。
 訪れる信者は年間100万人。聖堂の中で座っているのは、これから神様にお願いをする人たち。通路にひざまずいて、祭壇まで這って前進していくのは、願いが叶ってそのお礼参りに来ている人たちだ。
 聖堂前の広場で、化け物のような仮面をかぶって、太鼓や鐘をたたいて歩くグループがいた。怖がり面白がりながら、群衆が寄っていく。マスカラーダス(mascaradas)といって、カソリックと土着の宗教が結びつき、悪霊を追い払う儀式。公共の場に出没し、時には新しいビジネスやレストランの呼び込みや宣伝もするそうだ。日本でいえば、ナマハゲとチンドン屋のミックスみたいなものかもしれない。

 カルタゴは火山に囲まれている。すぐ北にあるイラズ山は、コスタリカで一番高い活火山。1960年代に大噴火した時は、カルタゴだけでなくサンホセまで灰に埋まった。
 火山灰の土地だから貧相だと思ったら大間違いで、硫黄や鉄分を含んだ豊かな土壌を利用して、イラズは野菜や果物の名産地になっている。ニンジン、タマネギ、ジャガイモ、レタス、スクワッシュ、スイートペッパー、イチゴ、アボカド…。コスタリカの国民はもちろん、アメリカ人もここの青果を輸入して食べている。
 火山の斜面に畑が広がり、ジャガイモの白い花が一面に咲いている。道端に収穫したての野菜や果物を売るスタンドが並ぶ。牛や馬もたくさんいて、酪農が盛ん。ミルクやチーズも売っている。

 イラズの西北には、ポアズ火山がある。この山の裾野では、コスタリカで最高のコーヒーが育つ。
 地元の人に言わせると、イラズからポアズにかけての周辺が、コスタリカで一番美しいエリアなのだそうだ。
 Life is simple——。コスタリカで何度も耳にしたフレーズだ。水も森も豊かで、ワニさえ満腹な国だ。発電に使うのは、水力、風力、地熱、太陽光。「原発なんか必要ないよ」とツアーガイド。けれど、その恵みを悪用して「無駄」に走らないことが大切なんだ、と力説していた。
 ジャングルもケッツァールも素晴らしい。それと同じぐらい、目的地から目的地へ行くまでの道中、なにげない風景が強く心に残った旅だった。
 


 

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