シリーズアメリカ再発見㉑ 飛翔!グランドキャニオン・ウェスト

文&写真/佐藤美玲(Text and photos by Mirei Sato)

 

Photo © Mirei Sato

グランドキャニオン・ウェストのシンボル、スカイウォークPhoto © Mirei Sato

 午後2時半、ボートを降りた。水からあがると、ヘリコプターが待っている。今度は空へ。くだってきたコロラド・リバーを見下ろす。快適な数分の飛行。グランドキャニオンのてっぺんに着く。

 イーグルポイントという見晴らし台へ向かった。なぜそう呼ばれるのかは、行けばすぐに分かる。尾根にイーグルが羽を広げて休んでいるような、すばらしい岩の彫刻だ。イーグルの体からグランドキャニオンが生まれているようにさえ見える。

 観光客は、思い思いにセルフィーを撮っている。キャニオンのふちに腰かけて、イーグルのように両手を広げてポーズする人も。ただし自己責任で。すべって落ちたらサヨウナラ。

 自然がつくったワンダーを眺め飽きたら、人間がつくったワンダーへ。ここには「スカイウォーク」がある。谷底から4000フィート。空中にU字型に70フィートも突き出した、ガラス張りの通路だ。床もガラスだから、谷底がよく見えて、何度か足がすくんだ。

 グランドキャニオンの「王道」は、ノースリムとサウスリムだ。でも、谷底から、泥水の中から、空中から、てっぺんから、イーグルの背に乗って、グランドキャニオンと自分が一体化するような体験ができるのは、ここウェストリムならではだろう。

 夜は、ロッジのレストランで、クリントと彼の友人たちを囲んでディナー。カロリーたっぷりのフアラパイ・タコスと、ビーフやトマト、ポテトをゴロゴロ煮込んだフアラパイ・シチューで、疲れ切った体を温めた。

 私たちのボートと並走して、フアラパイのフォトグラファーが急流くだりの様子を撮影していた。USBに編集してくれたアルバムを、みんなで鑑賞。おののき引きつった自分たちの顔に、大笑いした。

 明日もう1度やりたいかと聞かれたらちょっと困ってしまうけれど…。一生忘れないだろう、楽しくて恐怖いっぱいの思い出になった。
 


 

1 2 3

4

5

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

関連記事

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 日本では、何においても横並びが良しとされる。小学校への進学時の年齢は決まっているし、学校を...
  2. Water lily 今年は年頭から気にかかっている心配事があった。私は小心なうえに、何事も...
  3. 峡谷に位置するヴァウリアル滝の、春から夏にかけて豪快に水が流れ落ちる美しい光景は必見。島には約16...
  4. 2024年6月3日

    生成AI活用術
    2024年、生成AIのトレンドは? 2017年に発表された「Transformer」...
  5. 今年、UCを卒業するニナは大学で上級の日本語クラスを取っていた。どんな授業内容か、課題には...
  6. ニューヨーク風景 アメリカにある程度、あるいは長年住んでいる人なら分かると思うが、外国である...
  7. 広大な「バッファロー狩りの断崖」。かつて壮絶な狩猟が行われていたことが想像できないほど、 現在は穏...
  8. ©Kevin Baird/Flickr LOHASの聖地 Boulder, Colorad...
ページ上部へ戻る