シリーズアメリカ再発見㉘
Eat Me in St. Louis !
生誕250年 セントルイスを食べる

文&写真/佐藤美玲(Text and photos by Mirei Sato)

Photographer: Dan Donovan. Copyright © St. Louis Convention & Visitors Commission. All Rights Reserved.

Photographer: Dan Donovan. Copyright © St. Louis Convention & Visitors Commission. All Rights Reserved.

DINNER

The Block Restaurant Butcher & Bar
33 North Sarah Street, St. Louis, MO
314-535-5100
theblockrestaurant.com

日替わりのブッチャーズ・プレートCourtesy of Missouri Division of Tourism

日替わりのブッチャーズ・プレート
Courtesy of Missouri Division of Tourism


今回の旅で一番美味しかった、ベーコン・ジャムPhoto © Mirei Sato

今回の旅で一番美味しかった、ベーコン・ジャム
Photo © Mirei Sato

 西海岸や東海岸の都会ではベジタリアンを気取る人が多い昨今、アメリカの中西部では、堂々と「肉好き」宣言できるから嬉しい。
 ここ「ブロック」は、庶民がスーパーではなくお肉屋さんに行ってフレッシュなカットを買っていた古き良き時代を再現しているレストラン。といっても、ただステーキを出すだけの芸のない店ではない。
 日替わりの「ブッチャーズ・プレート」で、牛タンのテリーヌや、パテを。バーボンのおつまみには、クリスピーなポーク・ラインズ(ブタの皮を揚げたスナック)を。安くてまずいスナック・バージョンしか知らない人を、開眼させる美味しさだ。
 サラダにもマック&チーズにも、と、「ベーコン祭り」。
 絶品の極みは、手作りベーコン・ジャムだった。焼いたパンにつけて食べる。これで病みつきになった私は、セントルイス滞在中、機会があればベーコン・ジャムを注文したが、この店の味を超えるものには出会わなかった。おみやげに買えればと期待してグルメ食料品店なども訪ねたが、どこにも売っておらず。店員にも聞いたが、家庭やレストランで手作りするものらしく、フレッシュさが命だからか、どこでも扱っていないようだった。

Elaia/Olio
1634 Tower Grove Avenue, St. Louis, MO
314-932-1088
www.elaiastl.com
www.oliostl.com

Courtesy of Missouri Division of Tourism

Courtesy of Missouri Division of Tourism


地中海と中東の食文化を反映。シンプルな食材が生む、フレーバーのハーモニーが素晴らしい Photo © Mirei Sato

地中海と中東の食文化を反映。シンプルな食材が生む、フレーバーのハーモニーが素晴らしい
Photo © Mirei Sato

 「エリア」と「オーリオ」は、セントルイスで最も先端をいくと言われる再開発地区、ボタニカル・ハイツに並んで建つ姉妹店だ。
 「エリア」は一軒家を改装したエレガントなレストランで、今年のジェームズ・ビアード賞を受賞した。隣りの「オーリオ」は、ガソリンスタンドを改装した、カジュアルな店構えだが、セントルイスの名店としてこちらをイチ押し推薦したい。
 オーナーシェフのベン・ポレンバさんは、オーリオを「Middle-Terranean」と表現する。ポレンバさんの母国イスラエルと、スペイン南部、フランス、イタリア、ギリシャ、トルコ、レバノン、北アフリカの影響を受けた料理だ。
 炭焼きしたナスに、フレッシュなリコッタ・チーズ。エダマメとタコのサラダ。ポレンバさんの祖母の得意料理「おばあちゃんのエッグサラダ」。チーズやパテ…。食材はいたってシンプルだが、ハーブやソースのマジックで何層にも深みのある味が生まれる。食べ歩きの旅、最後を飾るのにふさわしいディナーになった。
 店内を歩き回って客に声をかける、気さくなポレンバさん。セントルイスの後はケンタッキーに旅をすると言ったら、ルイビルでお薦めのレストランを何軒も教えてくれた。今秋、エリアとオーリオの向かい側に、フライドチキンとバーボンの専門店を開くという。楽しみだ。

Brasserie by Niche
4580 Laclede Avenue, St. Louis, MO
314-454-0600
www.brasseriebyniche.com

Courtesy of Missouri Division of Tourism

Courtesy of Missouri Division of Tourism


Photo © Mirei Sato


Photo © Mirei Sato

 セントルイスは名前からも分かる通り、アメリカの領土になる前はフランスの植民地だった。フランスの影響を受けた食文化が今も残っている。
 今一番トレンディーなセントラル・ウェストエンド地区にある「ニッシュ」は、数々の賞に輝くシェフ、ジェラード・クラフトさんが経営するブラッセリーだ。ルバーブ、ビーンズ、チキンリバーなど、地元の食材を使って、アメリカ人が好むフランス料理に仕上げている。
 クラフトさんは、2008年、フード&ワイン誌にベスト・ニュー・シェフとして認められて以降、セントルイスの食の星に。ジェームズ・ビアード賞で中西部のベスト・シェフとして5度も最終選考に残った。
 数あるアペタイザーの中では、オリーブオイルと塩をかけてローストしたブドウと、チリペッパーフレークとマスタードシードであえたゴールデンレーズンが、際立って美味しかった。キャンドルライトのもと、チーズとワインとこの2品だけで、いつまでも居られそうだ。

Then Some…

Gus’ Pretzel Shop
1820 Arsenal Street, St. Louis, MO
314-664-4010
www.guspretzels.com

Photographer: Katherine Bish. Copyright © St. Louis Convention & Visitors Commission. All Rights Reserved.

Photographer: Katherine Bish. Copyright © St. Louis Convention & Visitors Commission. All Rights Reserved.

 「デザート&スナックは別腹」という時は、こんなものも。ベントンパーク地区にある「ガス」は、セントルイスではとても有名なプレッツェル屋さんだ。1920年創業で、手でひねる伝統の作り方。できたてを食べると、ソフトでモチモチしていて美味しいのだが、表面についた塩がかなり強くてしょっぱい。

The Sweet Divine
1801 S 9th Street, St. Louis, MO
636-942-2900
www.thesweetdivine.com

Photo © Mirei Sato


Photo © Mirei Sato

 スーラードのマーケット近くにあるカップケーキ屋さん。フードネットワークの番組「Cupcake Wars」で優勝して有名になった。名物「Drunken Pig」(酔っぱらったブタ)は、ビールとチェダーチーズのカップケーキに、クリームチーズのフロスティング、ベーコンをトッピングしている。

取材協力/Special thanks to Mississippi River Country, Missouri Division of Tourism, and St. Louis Convention & Visitors Commission

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