シリーズアメリカ再発見㉜
真昼のラスベガス&ストリップ最新情報

文&写真/佐藤美玲 (Text and photos by Mirei Sato)

世界一の観覧車
ハイ・ローラー

 エッフェル塔や自由の女神、ライオンにピラミッドは、もう古い。今のストリップの主役は、1年前にオープンした観覧車「ハイ・ローラー」(大金を賭ける人、の意味)だ。
 老舗のカジノリゾート「シーザーズ・パレス」の向かいにできた。高さ550フィートは、世界一。
 夜景もいいけれど、地元の人は、「乗るならまずは昼間がおすすめ」と口をそろえる。青い空に、飛行機雲、独特の薄い虹色に輝くネバダの砂漠が、一望できるからだ。
 肩を狭めて座るようなボックス席の観覧車とは大違い。全面ガラス張りで、1台に40人も乗れる。広いリビングルームかオフィスにいるかのような快適さだ。
 回転はゆっくりで、1周するのに30分ほどかかる。1台を貸し切って、プロポーズやパーティーに使うこともできる。さすがはラスベガス。私のひとつ前の車両には即席のバーが設置され、バーテンダーまで乗車していた。
 観覧車の足元には、プロムナード型の屋外商業施設「リンク」が広がる。ニューヨーク・ブルックリン発のボウリング場や、ロサンゼルス生まれのブランド店が並ぶ。海外やアメリカ国内各地からやって来た人たちが、タイムズスクエアやサンタモニカを歩くような気分で楽しんでいた。
 つい、リーマン・ショック直後にラスベガスに来たときのことを思い出す。タクシーの運転手からツアーガイドまで、会う人会う人暗い話ばかりだった。仕事を解雇された、家を差し押さえられた、老舗ホテルが閉鎖する…。
 それから数年で、ラスベガスの景気はずいぶん持ち直した。ハイ・ローラーのような大型プロジェクトが幾つも完成し、ストリップ周辺のお色直しが進んで、レストランやショップが増えた。そのおかげか、昨年、ラスベガスの訪問者数は過去最高の4000万人を超えたという。
 ただ、ニューヨークのタイムズスクエアが、すっかり安全でつまらないショッピングモールになってしまったように、昔の猥ざつで怪しいラスベガスを懐かしむ人もいることだろう。


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