心の病 相談室

Q.4 異文化適応障害とは何が要因で起こるのでしょうか。また、家族の事情でアメリカに引っ越してきた子どもが新しい環境で適応していくためには、親としてどのようなことに心がけたらいいかを教えてください。A.4 異文化適応障害とは、新しい環境の中で普段の自分らしさを発揮できない状態です。子どもの学校とは、意識して積極的にコミュニケーションをとるように努めましょう。

回答:白石由紀子先生

日本から駐在員家族がアメリカに来た場合、新しい環境の中で何らかの社会的関係を持とうとしても、今までできていたことができなくなり、行動範囲が狭くなり、自分らしさを失ってしまうという状況に陥る時があります。言葉もできないために、普段の自分らしさを発揮できず、周囲の人の自分を見る目が違うようで、居心地が良くないと感じます。子どもは年齢にもよりますが、まったく初めての経験の場合、何かおかしいけれど、それを言葉にできなくて自分でもわけが分からず、戸惑ってしまうこともあるでしょう。そういう時でも意外と言葉で親に自分の気持ちや体験を表現できない子どももいます。高校生くらいになれば自己アイデンティティ形成の過程で、自分らしい自分を文化的違いのため周りに受け入れてもらえないと自己嫌悪に陥るなどして悩みます。小学校だと担任の教師がいるので学校とパイプもつなぎやすいのですが、中学校、高校になると科目ごとに教師も違うために学校とコミュニケーションを図るのが困難です。

では、親として何をすべきか、というと、担任教師でなくてもアカデミックカウンセラーやスクールサイコロジストといった先生がキャンパスにいるので、そのような専門家と積極的にコミュニケーションをとるように努めることです。保護者として学校に顔を出し、そういう人たちに「自分の子どもは学校でどのような様子だろうか」と確認してみてください。

英語が不得意なのでそこまでできないという方は、手紙を書いて渡すだけでも気に留めてもらえるはずです。そうして家族だけでなく、周囲の皆で見守ってあげる、という姿勢がとても大切です。

また、異文化適応は時間がかかるので子どもが当惑する場合があるのは当然で、「頑張ってるね」と親から気長に毎日の会話をもつことも大切です。

Q.5 日本ではアメリカに比べ、心理カウンセリングを受けるということが一般的ではありません。問題を抱えているのにカウンセリングに対して抵抗を感じている人にどのような言葉をかけますか?A.5 心の悩みを人に聞いてもらうだけでも大きな癒しになります。親にも親友にも言えなかったトラウマを話すことができて楽になったという人もいます。

回答:白石由紀子先生

悩みがあっても、それを自分だけの問題として抱え込んでいる人は、たとえると、森の中にいて出口が見えない状況です。どうしていいか分からないのです。
しかし、カウンセリングに行けば、森の外から物事が見えるようになり、ここを進めば出口に出られるのだという情報や、自分では探せなかった方法を提供することができます。一人だけで考え込んでいるのとは違うものが生まれるのです。

実は心の悩みを人に聞いてもらうだけでも大きな癒しになります。私のカウンセリングに来て、親にも親友にも言えなかったトラウマを話すことができて楽になったという人もいます。

ところが、私のところだけ見ても、日本人がカウンセリングに来る割合は非常に低いですね。10人中、1人、いやもっと少ないです。日本人はプロのカウンセリングを受けることと、友だちに話すことの区別が付いてないようです。保険を使ったり、費用を払ったりして、自分の話を聞いてもらうことに抵抗があるのかもしれません。しかし、その壁を乗り越えてやって来ると、ほとんどの人が「もっと早く来れば良かった」と言います。

異文化適応障害などでカウンセリングに来ると、持っている心の病気の根の部分が人によってそれぞれ違うので、治療期間については断言できない一方で、最初の6カ月が大切な時間だということは言えます。その期間が一番大きな変化が期待できる時期です。回数にすると20回前後といったところです。大抵の場合、カウンセリングを受けることを決断してしまえば、順調になるまで(カウンセリングに)いらっしゃるケースが多いと思います。

また、再発はないとは言えないけれど、もし再発した場合には、一度カウンセリングに来ているので戻って来やすいと思います。以前の経験で役立つということが分かっているからです。

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