心の病 相談室
- 2017年10月1日
- 2017年10月号掲載
Q.8 パニック障害にはどのような経緯で陥るのでしょうか? どのような治療が行われますか?A.8 症状が悪化すると日常生活に多大な影響を与えるパニック障害。細かいことが気になりやすい人がかかりやすいといわれています。
回答: 岩田康嗣先生
パニック障害の症状は突然現れます。急に不安になって、過呼吸になったり、心臓に痛みを感じたり、息切れ、喉に何かつまったような窒息感、激しい動悸などの症状が見られます。心拍数は速くなり、吐き気や、体の一部がピリピリすることもあります。その場で動けなくなる人も少なくありません。そしてその症状が何回も繰り返し現れる場合もあります。
パニック障害を引き起こす原因はさまざまです。会社の会議中にプレッシャーや緊張から来るパニック状態、学校の授業のプレゼンテーション中、風邪をひいた時、過労、疲労、睡眠不足、電車での移動中、高温多湿の環境、カフェインの過剰摂取などが例に挙げられます。
私の患者さんのケースでは、ベッドで寝ている時に急に寝室の天井が落ちてくるように感じてパニック症状を経験したという報告が過去にありました。また、電車に乗るとパニックを引き起こし、1駅区間も乗っていられないといった症状を訴える人もあり、症状が悪化すると日常生活に多大な影響を与えます。
一般的には「誰にでも起こり得る」とされていますが、もともと不安を抱えている人がパニック障害になりやすいともいわれています。細かいことが気になりやすい人、空気を読みすぎる傾向がある人は、過度なストレスがきっかけでパニック症状が起こりやすくなります。男性よりも女性の方がパニック症状にかかる確率が高く、20代や30代で多く発症するといわれています。
パニック障害の治療は大きく分けて薬物療法と心理療法の2つがあります。薬物療法は薬の服用で脳内神経伝達物質のバランスを改善することによって、パニック症状の発症を抑えます。心理療法はいろいろな方法があるのですが、主に認知行動療法と自律訓練法が使われる場合が多いです。
パニック症状が現れたら、周りの人は落ち着いて患者さんのそばにいてあげてください。叱咤激励的なアドバイスをするよりは、とにかくそばにいて話を聞いてあげる方が患者さんに安心感を与えます。患者さんが楽な姿勢でいられる状態を確保してあげてください。もし締め付けのきつい服装をしていたら緩めてあげるのも一つの方法です。少し窓を開けて新鮮な空気を取り入れてみましょう。そして、ゆっくり腹式呼吸をすることを勧めてください。その時に、周囲の人も一緒にゆっくり呼吸をしてあげると効果的です。
一旦パニック症状が出ると「この恐怖はいつまでも続くのではないか」と不安になります。そういう時は「このパニックはもうすぐ終わるからとりあえず安静にしていよう」と言い聞かせてください。通常パニック症状は10分から30分程度でおさまるといわれています。「パニック症状には終わりがある、この恐怖は永遠に続かない」ということを頭にインプットする、すなわち「認知すること」がパニック症状の対処法として重要なポイントになります。
取材協力
Miwa Hitsumoto
LA Counseling
Ph.D. Licensed Marriage and Family Therapist
www.lacounseling.com
Clinical Director,
Center for Japanese Mental Health
www.cjmh.org
626-372-7848
Yukiko Shiraishi
Ph.D, Licensed Clinical Psychologist
708-415-7513
Yasushi Iwata
New York State Licensed Mental Health Counselor
New York State Credentialed Alcoholism and Substance Abuse Counselor
www.iwatamhc.com
212-882-1173
※この記事は、読者への情報提供を目的としたものです。特定事例におけるアドバイスが必要な場合は、専門家に相談してください。
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