“経験”を与えるというアメリカの福利厚生とは?

文&写真/菰田久美子(Text and photo by Kumiko Komoda)

このコーナーではアメリカのHR関連のお話や、ビザ等アメリカで働くために役立つ最新情報をご紹介しています。今回はアメリカの福利厚生のお話です。

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アメリカの企業が採用している福利厚生制度は主に、医療保険、歯科保険、401(k)などの年金プラン、有給休暇、ストックオプション、社宅、学費補助などがあります。近年では、特にベンチャー企業などを中心に、フリーフード、託児所、ジム、無料ランドリーなどユニークな福利厚生を提供している企業も増えてきました。

 

最近、目にして個人的によいなと思った福利厚生は、“経験”を与えるというベネフィットです。従業員にギフトが贈れるという、いたってシンプルなベネフィットなんですが、贈れるギフトがモノではなく“体験や経験”にフォーカスしているというところが、今の世代の人達受けがするベネフィットのように思っています。

方法はとても簡単で、企業はクレジットを購入し、従業員は「Bluebord  Rewards Platform」というサイトで償還するというとてもシンプルなシステムです。プラットフォームを開発したBluebord 社は、サンフランシスコをベースとした若い会社。ありきたりのギフトカードや会社ロゴ入りのTシャツをもらっても社員はちっとも嬉しくない。企業は優秀な社員に感謝の気持ちを伝えるために、最適なギフトを贈るべきだと言っています。また、恩恵を受けた社員が起こすバズは、社内の活性化にも役立つとも言っています。

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単なるギフト券であれば日常の食料品や洋服などを買って終わってしまうことも多いですが、いつもしたいと願っていたことを実現したり、楽しくて思い出深い経験をすると人は一生涯忘れません。そうした忘れられない経験を会社がご褒美として提供すると従業員も会社と自分の関係を改めて見直すことになるのではないでしょうか。

“経験”のメニューとしては、スカイダイビング、冒険旅行、料理教室、ギターの個人レッスン、ワイナリーツアー、リラクゼーションなど見ているだけでわくわくするようなものがたくさんあります。興味のある方は、一度サイト(https://www.blueboard.com/)をのぞいてみてくださいね。

会社にとって従業員は最も大切なアセットですが、従業員にとっては働きがいのある会社に勤めることはとても誇りであり幸せなことです。従業員の信頼を獲得し、モチベーションを高め、優秀な従業員を維持していくためにはこうした魅力的な福利厚生はとても良い施策ではないかと思います。皆様の会社でも是非取り入れてみてはいかがでしょうか。

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菰田久美子 (Kumiko Komoda)

菰田久美子 (Kumiko Komoda)

ライタープロフィール

人材紹介・派遣会社、QUICK USA, Inc.のマーケティング企画室マネージャー兼キャリアコンサルタント。日本の大学卒業後、IT、広告代理店を経て留学のため渡米。2002年QUICK USA, Inc.入社。これまで多くの求職者に対してアメリカでの転職および就職のサポートを行ってきた。求職者であった時の初心を忘れずに、常に求職者の立場に立った適切なアドバイスを提供できるよう心がけている。2015年、マーケティング企画室創設に伴いマネージャーに就任。同社の広告、ウェブ、SNS戦略を拡大。イベントへの参加、セミナーの開催なども積極的に行っている。

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