アメリカの会計事務所で働くために、押さえておきたい7つのポイント
文&写真/菰田久美子(Text and photo by Kumiko Komoda)
- 2018年2月1日
このコーナーではアメリカのHR関連のお話や、ビザ等アメリカで働くために有益な最新情報を提供しています。アメリカの会計事務所でのお仕事はアメリカでも人気の職種の一つです。そこで今回は、将来アメリカの公認会計士を目指したい。アメリカの会計事務所で働きたい思っている方のために、アメリカの会計事務所で働くために押さえておきたい7つのポイントをまとめてみました。
1.アメリカの会計事務所
アメリカには会計事務所が数多くあります。Deloitte Touche Tohmatsu(Deloitte)、 PricewaterhouseCoopers(PwC)、Ernst & Young(E&Y)、KPMGといったいわゆるBIG4と呼ばれる、世界的に展開する大規模な会計事務所の他、Mc Gladrey LLP(Chicago)、Clifton Larson Allen LLP(Minneapolis)、BKD LLP(Springfield, MO))、Moss Adams LLP(Seattle)など、全米には有名な会計事務所がたくさんあります。
こうした大手会計事務所や中堅の会計事務所は本部の他に他州でもプロフェッショナルを配し、会計税務アドバイザリーサービスを提供しています。また、小規模の会計事務所では地元に根ざしたサービスを提供しています。こうした中・小の会計事務所では、Big4などで経験を積んだ後、独立し会計事務所を立ち上げた日本人のCPAの方もたくさんいらっしゃり、日本語と英語でサービスを提供しています。一口に会計事務所といっても規模や特徴が異なりますので、ご就職、ご転職の際にはアメリカの会計事務所のことをよく知っている人材紹介会社などにご相談されることをお奨めします。
2.アメリカで公認会計士になるためには
米国公認会計士はアメリカ各州が認定する資格でUSCPAとも呼ばれています。USCPAの受験には、各州で決められた会計およびビジネス関連の科目の所要単位数が大学で取得または取得見込みであることが必要とされています。受験に必要な有効単位数が認められれば受験することができます。
米国公認会計士の試験科目は4つで、Financial Accounting & Reporting、Regulation、Business Environment & Concepts、Auditing & Attestationです。各科目75点以上で合格とされます。アメリカの会計事務所で働くためには必ずしもCPAを取得していなければいけないということはありませんが、将来的にはCPAを取得した方がベターです。アメリカの会計事務所では、CPAをもっていなくても、大学を卒業した社会経験のない新卒の方でも大学や大学院での専攻がAccounting等であれば受け入れてくれる会計事務所は数多くあります。
3.アメリカの会計事務所での仕事
アメリカでの会計事務所での仕事はおおまかに分類すると、監査業務、税務業務、会計業務となります。監査業務とは、会社の損益計算書や貸借対照表などの財務諸表について、その会社とは独立した第三者である公認会計士が適正であるか、間違いがないかを確認し、適正について意見表明をする仕事です。税務業務は法人と個人を対象とし、米国税法に基づき法人税申告書・個人所得税申告書等の作成を行います。会計業務では、日々の帳簿のチェック、月次の財務諸表の作成などを行います。また、その他会計や税務のコンサルティング業務を行う会計事務所もあります。
4.会計事務所で働くメリット
会計事務所で働くメリットとしては、まず「高度で専門的な知識を身に付けることができる」ということが挙げられるでしょう。日々の業務を通じて知識を身に付け、キャリアを確実に構築することができます。学生時代にCPAを取得していない人は、仕事をしながら受験勉強を行いCPAを目指すという目標も立てやすいでしょう。会計の仕事というと数字ばかりを追いかけている仕事を想像しがちですが、会計事務所での仕事はクライアントとコミュニケーションをとることも多いので、対人スキルも向上させることができます。
5.会計士の仕事の喜び
会計士の仕事を通じて感じる喜びは人それぞれかと思いますが、社会やクライアントの役に立てる仕事ができるということが挙げられるかと思います。「監査業務で大きな修正事項を発見し、適正な財務諸表を開示してもらうことができた」「内部統制上の問題点を検出し、指摘することによって企業のお役に立てることができた」等実際に仕事を通じて感じる喜びについてお話しを伺うこともあります。通常、会計事務所では複数の事業会社をクライアントにもち、その会社の経営に関わる業務であることから、会計のプロフェッショナルとして、経理の担当者や経営者とのやりとりを行うことも多々あります。担当先の財務状況を正確に把握し、数字を通してクライアントの企業の経営を支える仕事は非常にやりがいの高い仕事です。また、企業の決算書の誤りを正し、企業の正確な財務状況を世間に発表する一助となる公認会計士の監査の仕事は、投資家に安心感を与え、健全な経済社会の発展を支えることにもつながる誇り高い仕事です。
6.会計士の仕事のメリット
会計は日米欧で多少の差はあるものの基本的には全世界共通です。知識と経験を身につければ、全世界どこに行ってもできる仕事です。同じ会計事務所でステップアップすることもできますし、転職でステップアップすることもできます。会計事務所では、会計事務所での職務経験者を歓迎し優遇する事務所が多いのでステップアップの際には転職活動も念頭において行動されるのも一手です。また、会計はビジネスの基本であり、会計を知らずに経営はできません。会計事務所から一般企業へ転職した場合には、さまざまなビジネスシーンで培った知識を生かすことができるでしょう。また、USCPAは難関資格の一つであり、会計について専門性の高い知識や技術が求められる職種です。それ故、公認会計士の収入は高くて安定しているといるというのが一般的です。
7.アメリカの就労ビザについて
アメリカで公認会計士を目指す方はほとんど、大学または大学院で会計学を専攻した人となります。USCPAを受験するには会計などのRequirementの単位が必要だからです。会計士は専門職ですので申請条件を満たしていれば、H-1Bビザ等の米国非移民就労ビザを申請することが可能となります。正し、米国非移民就労ビザを申請する際には、移民法に詳しい弁護士などを通じて申請することが一般的ですので、申請の際には専門家に相談されることをお奨めします。
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