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医療費・介護費が高額になった場合の公的補助 ~日本の高額療養費〜
文&写真/蓑田透(Text and photo by Toru Minoda)
- 2018年10月11日
日本の医療保険(健康保険)制度はすべての国民が加入でき、しかも月々の支払い保険料や医療機関で支払う医療費が米国より割安という、大変ありがたい社会保障制度であると以前紹介しました。また介護保険制度は、傷病や加齢により日常生活が困難になり介護が必要になった場合に、国が介護費用を一部負担してくれる、こちらもありがたい制度であると紹介しました(医療保険は2016年10月・2016年11月、介護保険は2017年12月、2018年1月のコラムを参照)。
今回はこれらの保険制度のなかで、さらに利用者の負担を軽減してくれる高額療養費について紹介します。
1.高額療養費制度とは
医療保険も介護保険もその費用の大部分(7割。高齢者の場合は8~9割)を国が負担してくれるため、自己負担額は少なくて済みます。ところが、重い疾病(がん、脳梗塞、心臓病、糖尿病など)にかかり、手術や長期の治療、または寝たきりの状態での介護を必要とするケースでは、自己負担額がそれなりに高額になってしまいます。今回紹介する「高額療養費」とは、医療や介護保険において自己負担額が一定額を超えると、その分をさらに国が負担してくれる制度になります。
日本の医療保険、介護保険制度については多くの方がご存知ですが、この高額療養費については意外と知られていません。理由は、制度を運営する国や自治体のPR不足、また利用した医療機関や介護事業者からの説明不足もありますが、このサービスを受けるには毎月の医療、介護費用の合計額が一定額を超えているか、自分で計算し申請しなければならないという手続き上の難しさもあります。
2.保険料とサービス内容
まず高額療養費は、医療保険、介護保険制度のサービスなので、国民が毎月支払う保険料の中でカバーされます(追加の保険料の支払いはありません)。
次にサービス内容、つまり国が追加で負担してくれる額はどれくらいかといいますと、次の表をご覧ください。これは医療保険における70歳未満の高額療養費の自己負担限度額です。報酬月額(毎月の所得)に応じて限度額が変わります。70歳以上や介護保険の場合では、また別の自己負担限度額が設定されています。
たとえば報酬月額40万円の被保険者(70歳未満)が医療機関で治療を受け、100万円の医療費がかかったとします。高額療養費を含まない一般の健康保険で自己負担分(3割)を支払うと、〔1,000,000円×30%=300,000円〕となります(この金額を治療後、医療機関の窓口で支払う必要があります。なお、70~75歳の方の自己負担分は2割、75歳以上の方は1割です)。
しかし、高額療養費分として上記の表に当てはめると、自己負担限度額は〔80,100円+(1,000,000円-267,000円)×1%=87,430円〕ということになり、すでに医療機関の窓口で支払った分との差額〔300,000円-87,430円=212,570円〕が支給されます。つまり、100万円の医療費でも自己負担分は87,430円で済むのです。
自己負担限度額の計算の対象となる医療費は、1世帯(個人ではない)の1カ月分の合計額です。また、入院と通院の医療費は別区分とされる、70歳未満の被保険者の医療費は自己負担分が21,000円以上のケースのみ適用となるなど、複雑な条件が決められていて理解しづらい部分があります。介護保険も同様の考え方が適用されます。
3.手続き
このように、制度の内容としては計算方法などやや難しいところがありますが、内容を理解していなくてもこの高額療養費制度の存在を知っていれば、各自治体や健康保険組合に問い合わセルことで、自分が適用対象なのかどうか、対象となる場合の自己負担額の計算方法や手続きについて教えてくれます。
今回は手続きについては割愛しますが、支払った金額(自己負担分)が多いなと感じたら、一度健康保険協会や自治体の国民健康保険課、介護保険課へ問い合わせてみましょう。
■開催期間:2018年10月24~29日
■開催場所:シアトル、ロサンゼルス
■詳細・申し込み:http://www.life-mates.jp/seminar_2018Oct
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