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2023年日本の年金改正について
- 2023年4月29日
日本では4月から2023年度がスタートしました。今回は日本の年金制度における2つの改正点を紹介します。
1.2023年度年金額について ~わずかながらも増額だが実質的減額〜
日本の年金(厚生年金、基礎年金)の2023年4月以降(受取は6月受給分から)の年金額が改訂されました。67歳までの方は2.2%、68歳以降の方は1.9%の増額となり、すでに年金を支給する日本年金機構や加入する各共済組合から案内通知が届いていると思います(いろいろと難しいことが書いてあるので読んでない方もいるかもしれません)
この「増額」という文字だけ見ると、上昇率はわずかながら「悪くない」と思われる人も少なくないでしょう。しかし実質的な金額の価値からいうと残念ながらこちらもわずかではありますが目減り(減額)されています。その理由はこの改訂額の算出根拠(要素)として、①日本の物価上昇率と賃金上昇率、②年金制度独自の算出根拠、を元にしているためです。少し詳しく説明すると、①については物価上昇率と賃金上昇率(家計支出や賃金は各家庭によって異なりますが、日本全体の平均値をベースに算出しています)に合わせているので年金額上昇分は家計に占める実質収入額としては今までと変わりません。一方、②は年金の財源の増減をベースに調整を行う仕組み(「マクロ経済スライドの調整率」といいます)があるのですが、これは少子化や長寿化の影響を吸収するための調整率で、具体的には公的年金加入者(年金保険料納付者)の減少率から受給者(年金受給者)の余命の延び率を引くことで年金財政の健全化を維持するためのものです。この②の調整率(-0.6%と公表済み)が適用されているため、実質的には年金額が下がることになります(つまり年金の財源が不足気味のために年金受給額を減額しています)
2.年金の繰下げ制度 ~「特例的な繰下げみなし増額制度」~
年金制度では現役時代に一定期間の年金保険料を支払うことで老後に年金を受給することができます。現在の日本の老齢年金受給開始年齢は一部の人を除き65歳となっていますが、受給者本人が希望すれば繰上げまたは繰下げ請求制度を利用して、65歳より前から、または65歳を過ぎてから受給することができます。繰上げの場合は最大60歳から、一方繰下げ場合は2022年3月までは最大70歳まで可能となっており、いずれも一定額が増減された年金額で生涯受給することになります。なお、この制度は米国年金(Social Security)にも適用されています。
今回この制度のうち、繰下げの年齢が70歳から75歳に引き上げられたのですが、実は75歳への引上げは1年前の2022年4月の改正で一旦適用されていて、この2023年4月の改正ではその引上げ方法に変更がありました。以下その内容を説明します。
対象者この繰下げ請求制度の改正(2022年4月~、2023年4月~とも)の対象者は、これから年金受給する人すべてではありません。2023年4月2日以降に71歳の誕生日を迎える人になります(つまり昭和27年=1952年4月2日以降生まれの人)。それ以外(左記日付以前に生まれた)の人は従来通り70歳までしか繰下げはできません。
2022年4月の改正:繰下げの上限を70歳→75歳に引上げ老齢年金の繰下げ受給の上限年齢が70歳から75歳に引き上げられ、年金の受給開始時期を75歳まで自由に選択できるようになりました。この制度で70歳以降に年金請求をする場合、①請求時点の年齢で繰下げる、②繰下げせずに請求する、の2つの選択ができました。
2023年4月の改正:繰下げ請求時に繰下げの起点日を選択できる2022年4月の改正に加え、70歳以降も安心して繰下げ待機を選択することができるよう制度改正が行われました。この結果、①請求時点の年齢で繰下げる、②請求時点から5年前の時点で繰下げ請求したものとみなし、増額された年金の5年間分を一括して受け取る、③繰下げせずに請求する(ただし一時金として受給できる過去訴求分は5年まででそれ以前の分は失効)、の3つの選択ができることになります(③を選択する人はいないと思いますが)。
今回の改正で上記①(特例的な繰下げみなし増額制度)を選択できるようになりました。
いかがでしょうか?上記の説明ではわかりづらいかもしれません。より深いく理解したい方は、日本年金機構のホームページ(下記URL)をご参照ください。図解と共に詳しく説明が書かれています。
<2023年4月改正の繰下げ制度について>
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2023/r5_kurisage_kaisei.html
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