日本の高齢者施設と海外在住者のための探し方・見つけ方

人生50歳代、60歳代を迎え、子供は成長して独立し、仕事もリタイアする年齢が近づいてくると、まだまだ若いとはいえ老後の過ごし方についても情報収集する機会が増えてくるのではないでしょうか?海外(日本国外)在住者であれば、老後も現在の居住国に留まるか、または故郷の日本へ帰国(移住)するかという選択肢も出てきます。現地生活に慣れ、仕事、財産、人間関係ともその地に根付いてしまえば逆に日本が海外の地に見えてしまいます。もちろん海外といっても日本の場合は自分が生まれた国であること、親や兄弟姉妹など家族がいる点で特別ですが。

そこで今回は日本へ永住帰国を選択した人のために、老後の過ごし方の一つとして日本の高齢者施設へ入居する場合の施設の探し方、見つけ方を紹介します。自分の将来のためだけでなく、日本在住の親の介護の面からも参考にしていただければと思います。

1.高齢者施設へ入居する目的

まず基本的なことからお話ししますが、年齢を重ね高齢者になったら施設に入居しなければならないということではありませんので、まずこの点をご理解ください。高齢になっても健康で自分一人で日常生活ができる、または多少他人の介助(サポート)がないと日常生活が送れない場合でも、家族や介護サービス事業者のスタッフを呼んで自宅で暮らせれば引き続き自宅で暮らせます。住み慣れた家ですから快適ですし、施設に入居する際の入居費用もかかりません。

ところが健康面の問題で多くの時間人の介助が無いと日常生活ができなくなったり、家族もなく人や社会とのつながりが無くなり引きこもってしまうような場合は、高齢者向けに設計され介護スタッフも常駐し、同年代の人が暮らす高齢者向け施設へ入居するのが一般的です。

2.日本の高齢者施設

日本に限らず、ほぼどこの国でも高齢者が入居する高齢者施設(Care House)があると思います。国が運営する公的な施設、民間会社が運営する施設、また提供するサービスもさまざまです。日本の場合は平均寿命の高齢化と共に増加する高齢者の生活を守る目的で2000年に介護保険法が施行され、その一環として高齢者のための施設が増えていきます。

日本で高齢者施設を紹介する場合、日本の介護保険制度の紹介もしていく必要があるのですが、今回はそのあたりは割愛させていただき、日本への永住帰国を予定している人が帰国前、海外からでも施設を探す方法を紹介します。

なお、当コラムシリーズにおいても以前介護保険制度や高齢者施設について紹介していますので、よろしければそちらもご参照ください。

介護保険制度:
・2017年12月「介護保険(前編)」: https://usfl.com/2017/12/post/113601
・2018年1月「介護保険(後編)」:https://usfl.com/2018/01/post/114131

高齢者施設:
・2017年2月「高齢者施設」:https://usfl.com/2017/02/column/nenkin_rogo/106715

3.海外からの高齢者施設の探し方

高齢者施設については大きく2つのタイプに分かれます。一つは介護が必要とされる状態(負傷、疾病または心身の障害により日常生活において一定以上の介護が必要な状態)の人のための公的介護施設(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、グループホームなど)と、もう一つは介護が必要な状態の人だけでなく健常者も入居可能な民間の施設(介護型・住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅など)になります。各施設の紹介は割愛致しますので、上記で紹介しました2017年2月のコラムをご参照ください。

施設の探し方については、公的介護施設は帰国後に自治体(市町村役場)へ連絡し、相談を受けるようにしてください。そうするとその地域の「地域包括支援センター」「社会福祉評議会」を紹介してくれます。これらは地域に根差した社会福祉の専門グループなので、介護を必要とする人への制度や給付サービス利用方法や高齢者施設などを教えてくれます。

一方民間施設については現在インターネット上で複数の介護系ウェブサイトがあり、全国の高齢者施設が紹介されています。「高齢者施設紹介サイト」で検索すると、広告表示を含め多くのサイトが表示されますので、一つずつ内容を確認してみてください。ただ多少ばらつきはあると思いますが、どのサイトもほぼ同じ全国の高齢者施設が掲載されていると思います。また高齢者の中にはパソコンなどIT機器に不慣れでインターネット検索できない人もいます。そういう人には電話での照会サービスも提供されています。そういった施設紹介サイトや電話連絡先などが分からない方は当社へご相談ください。

4.高齢者施設の決め方 ~ぜひ現地見学を

入居費が安価な特別養護老人ホームなどの公的介護施設は人気が高いので、入居可能な施設はなかなか見つからないかもしれません。一方、入居費もさまざまでその数も多い民間施設の場合は入居可能な施設が複数見つかると思うので、おおよその場所と予算を決めた上で候補をいくつか探し、じっくりと余裕をもって検討することが必要です。立地や施設の築年数、介護サービスの内容によって施設の入居費用はさまざまです。また施設の快適性や介護サービス内容はカタログやパンフレットだけでは十分とはいえず、できれば現地見学もしたいところです。民間施設は入居費用も安くありませんので入居後に「こんなはずではなかった」となることだけは避けたいものです。

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蓑田透 (Minoda Toru)

蓑田透 (Minoda Toru)

ライタープロフィール

早稲田大学理工学部卒業後、総合商社入社。その後子会社、外資系企業等IT業界で開発、営業、コンサルティング業務に従事。格差社会による低所得層の増加や高齢化社会における社会保障の必要性、および国際化による海外在住者向け生活サポートの必要性を強く予感し現職を開業。米国をはじめとする海外在住の日本人の年金記録調査、相談、各種手続きの代行サービスを多数手がける。またファイナンシャルプランナー、米国税理士、宅建士、日本帰国コンサルタントとして老後の日本帰国に向けた支援事業(在留資格、帰化申請、介護付き老人ホーム探し、ライフプラン作成、不動産管理、就労・起業、税務等の相談・代行)や、海外在住者の日本国内における各種代行、支援サービス(各種証明書の取得、介護・葬儀・相続など日本在住の老親のサポート)を行う。

●豊富な実績に基づくていねいなサポートで
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