Seiren North America, LLC
アメリカのビジネスは、今

今、アメリカのビジネスシーンはどうなっているのだろう?
困難をどう乗り越えたのか。成功の鍵はどこにあるのか。
キーパーソンに、アメリカでのビジネスのヒントを聞いた。


ノースカロライナ州モーガントンに本社を構えるSeiren North America, LLCのディレクター飛田誠治氏に話を聞いた。

ビジネスの内容

Seiren North America, LLCはセーレン株式会社の米国子会社として、車輌シート材及びエアバックの製造・販売を行う「車輌資材事業」を主として北米での活動を担当しております。古くは1986年から米国での事業を行っており、2001年には独資でアメリカに本格参入しました。

セーレングループとしては「車輌資材事業」、衣料用繊維製品の製造販売を行う「ハイファッション事業」、電磁波シードル材の製造・販売などの「エレクトロニクス事業」、建築・インテリア資材を取り扱う「環境・生活資材事業」、化粧品及び医療用基材を手がける「メディカル事業」の5つを主な軸として展開しています。一見すると異なる分野に見えますが、全てファブリックの技術が生かされています。130年以上の繊維事業で得た技術を応用することで、IT、建築、医療などの様々な分野にビジネスを展開し多岐にわたる技術革新を行っているところが、弊社のユニークな点です。

私は1989年に入社し、営業・開発を通し繊維と長年向き合ってきました。米国には8年前に渡り、現在は本社のあるノースカロライナ州、ミシガン州、カリフォルニア州、また工場のあるメキシコと、米国全体を担当しています。担当の事務所を東西南北に月に2、3回移動するため「どこに住んでいるの?」と聞かれた場合、大まかに「アメリカ」と答えています(笑)

オートモーティブインテリア業界

自動車業界では車が世の中の出回る3年程前にデザインの構想がスタートします。各自動車メーカーからいただくイメージに合わせて提案を行い、一緒に開発をしていきます。ここでコンペティションが始まり、より高品質でより低価格、そして消費者の心を掴むものが、最終的な取引先として選ばれるわけです。期間としては平均して1年から1年半の長いコンペティションですので、取引が決まった時に喜びは計り知れませんね。が、そうでない時のショックも隠しきれません(笑)

デザインだけでなく技術開発を含めた幅広い知識に精通している必要がある上、コスト面のアプローチの知識も求められる難しい仕事ではありますが、自動車メーカーから指示を受けてその通りに作るのではなく、コンセプトをもとに一緒に作り上げていくため、自動車開発により深く携われます。そこがオートモーティブインテリア業界の面白い部分ですね。

アメリカの自動車業界

日本とアジア地区の自動車業界は、日本の自動車メーカーがパイオニアとして築き上げてきた歴史があるため、日本のやり方が通用することが多いです。しかし、アメリカの自動車業界は、GM フォード FCAの先輩方が作り上げた地域であり、日系のやり方をそのまま持ってきても通用しませんので、その点で苦労することは多いですね。しかし、異なる文化背景や考え方を持つ日系ならでは発想、技術、サービスは、米国のローカル企業にはない強みだと思っています。

パワーを持っている米国の自動車業界で勝つことは、世界で勝つことと一緒だと私は考えていますので、米国の自動車業界に携われるのは非常にやりがいのある仕事ですね。

日米のビジネスの違い

その1 定食屋 vs サブウェイ
例えばランチを食べに行く際、日本の定食屋にはA定食・B定食が用意されており、お店がオススメしてくれたものから選ぶことが多いと思います。一方米国では、サンドイッチのサブウェイのように、パンの長さから焼き加減、野菜、肉まで全てを自分で選択して注文します。要するに、日本での提案は絞り込みをされ吟味されたものが好まれる一方で、米国では選べるオプションが多ければ多いほど良いというわけです。

特にデザインの提案の現場ではとても顕著で、日本では「提案は1個か2個、多くても3つ」という感覚ですが、アメリカでは「なぜ3つだけなの?」と言われれます。アメリカでは、これもあれも選べる、お客様が選択できるものが多いほど喜ばれるんですね。

その2 キーワードは「責任=Responsibility」
アメリカでは自身の仕事内容と責任範囲がきっちり定められているため、なぜそのように考えるの?行動するの?と思った時、その人の持つ「責任」に照らし合わせてみると理解できることが多いです。例えば何かの許可を得る際に担当者によって言い分や結果が違うことがあり「いい加減だなぁ」と思ってしまいがちなのですが、よくよく考えるとそれぞれに決定する「責任」があるからだと言う点に気が付きます。

これは、誰が蒔いたかわからない種でもみんなで作業して収穫する農耕民族の日本と、誰が仕留めたかハッキリしている狩猟民族の米国の違いではないでしょうか。

その3 当たり前の違い
例えば日本の自動車インテリアでは 艶がある=高級 というイメージがありますが、アメリカでは 艶がある=安っぽい と言われることがあります。価値観が180度違うんです。日本で当たり前だと思っていることは通用しないことがありますね。絶対良いと思っていることがそうでないことがありえるということです。

カリフォルニア州アーバイン事務所にて、営業・マーケティングを担当するJames Bozemanさんと

米国進出希望者へのエール

実は米国渡米後数年は辛いことばかり・・・と言ってもいいほど、大変でした(笑)米国に進出したばかりの頃は日本から来た新しい製品というだけでも、興味を持ってもらえます。しかし時間が経つにつれ、それだけでは通用しなくなる。ローカルの競合と同じように渡り合えないといけなくなるんですね。

しかし、一見困難に見えることでもやってみると意外と簡単なこともあります。特に言葉の壁もあり、巨大な市場である米国では様々なことが難しく見えますが、いつでもチャレンジャーとしての精神を無くさない限り、良いことは転がってくると信じています。私も「あーまた、大変だな」と思うことがあると、このことを思い出し、やってみることにしています。結局はくじけない、あきらめない、いうところに行き着きますね。

今後の展望

[編集部より]
実験で強い光を当てると、従来のハンドルは握れないほど熱を持つが、加工された側のハンドルは熱くならず!

世界の自動車産業は130年に一度の変革期と言われており、内燃機関のエンジンから電気への移行、燃料電池車やウーバーなどのライドシェア、自動運転など、一気に物事が変わろうとしている時期です。この変革期こそ、弊社のユニークな商品を次世代の自動車に役立てていただけるチャンスだと思っています。

例えば、ライドシェアの場合一つの車を様々な方が使用することになりますよね。そうすると、汚れない内装材の需要が出てきます。「はい、あります」。誰かが食べた食べ物の匂いが残るのが困るからと、匂いの消える内装材の需要が出てきます。「はい、あります」。というように、様々な新しいニーズに、弊社のもつ高い技術をもとにしたユニークな商品をご提供していければと考えています。

また社としては、従業員に本当の意味で誇りと自信を与えられ、彼ら自身の人間としての成長を手助けできる会社であり続けたいと思っています。そして「セーレンと言う、日本の会社で仕事ができてヨカッタ」と、まわりまわって日本という国に役立つことができれば嬉しいです。

Seiren North America, LLC

■ホームページ:https://www.seiren.com/
■電話:828-430-3456
■住所:1500 East Union Street Morganton, NC 28655

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