第156回 交通事故 - 左折の危険性について

文/安岡忠展(Tadanobu Yasuoka)

 自動車事故の原因のうち、右折の際の事故よりも左折の際の事故の方が圧倒的に多いという事をご存知でしょうか? National Highway Traffic Safety Administrationの2001年の報告書によると、170万件の交通事故のうち、左折事故は右折の時に比べて10倍の頻度で起こっていました。さらに、左折時の事故の被害額は右折の時と比べるとかなり高額だったという結果が出ています。左折事故の場合、正面衝突や右前方から当てられる事例が多く、修理代や治療費が大きい傾向にあります。それに比べ、右折の場合では側面同士が当たる事故が大半で、被害額は左折の時よりも小さいケースが多かったようです。

弊社で扱う案件でも、実際に左折事故の件数は多く、対向車線の車が黄色から赤信号に変わる際に停まってくれると思い、事故となってしまうケースが多く見られます。複数の車線をまたいで左折をするような場合、対向車線の手前の車線の車が停まってくれた際に左折をし、奥の車線の車が停まってくれなかったために衝突をするケースも多数あります。多くの場合、左折をした側に過失を問われるのが実情です。

また、ある保険会社が2013年から2015年にかけて、最も損害が大きかった50件の左折関連の事故を調べた結果、損害原因に関して次のグラフのようなことが分かりました。実に80%以上が、対向車に車線を譲る際の判断ミスによって事故を発生させています。

 左折事故が多いという事実から、あるアメリカの大手宅配会社では出来る限り左折が少なくなるような配達のルートの設定に取り組んでいるようです。交通事故の確率を下げ、従業員の安全確保と、時間通りに配達が出来るように工夫をしている事例です。業務でも私用でも、このように左折が少なくなるように運転する事を心がけるのも良いかもしれません。しかしながらまったく左折をしないわけにはいきませんので、左折の際には十分に気をつけるようにしてください。

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安岡忠展 (Tadanobu Yasuoka)

ライタープロフィール

全ての保険を取り扱う総合保険代理店「ダイワ保険代理店」代表。顧客の保険代理人として「お客様にとってベストなプラン」を提供する。目標は「全ての保険を取り扱うことでお客様のニーズを把握し、生涯のパートナーとしてお付き合いいただくこと」。

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