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SUMITOMO WAREHOUSE(U.S.A.), INC.
アメリカのビジネスは、今
- 2019年6月16日
今、アメリカのビジネスシーンはどうなっているのだろう?
困難をどう乗り越えたのか。成功の鍵はどこにあるのか。
キーパーソンに、アメリカでのビジネスのヒントを聞いた。
カリフォルニア州トーランスにオフィスを構えるSUMITOMO WAREHOUSE(U.S.A.), INC.のプレジデント 加藤俊介さんに話を聞いた。
アメリカでの事業内容
SUMITOMO WAREHOUSE(U.S.A),INC.は倉庫事業を核とし、入出庫のお手伝いと船や飛行機を利用した国際運送のサポートを行う総合物流企業として活動しています。アメリカでは1972年のサンフランシスコでの駐在員事務所立ち上げを足掛かりに、1985年に法人化、その後日米間物流のゲートウェイであるロサンゼルス/ロングビーチ港に近いロサンゼルスで土地建物を購入し自社倉庫としての運営をスタートしました。ロサンゼルスを本社とし、現在はアトランタ、シカゴ、ニューヨークと4箇所を拠点に展開しています。
総合物流と言っても様々な種類があり、売り主の工場を出荷するところからお客様のお手元までの輸送を一括して請け負う場合もあれば、通関だけを引き受けることもありますし、貨物が到着したアナウンスのみを行うこともありますので、弊社のサービスパターンはバラエティに富んでいます。
ロサンゼルス以外の拠点は、現地の倉庫会社に業務委託をしています。ロサンゼルスは日系企業も多く消費者市場も大きいのですが、中西部や東海岸は、事務所の近く、納入先の近く、港の近くと倉庫の場所についてお客様からのご要望が様々なため、一箇所に自社倉庫を構えるのではなく「倉庫のプロ」として日系のお客様の納得のいくサービスレベルが提供できる倉庫を探してご紹介しています。倉庫の管理がしっかり行き届いているか、日系企業のクオリティに対応できるサービスが整っているかなど、プロとして調査・交渉を行い、ご紹介後も現地の倉庫会社とお客様の間に入りメンテナンスを行っています。大切な商品を保管する倉庫選びは経験や知識が必要になりますので、自社倉庫での倉庫運営や管理で得たノウハウを活かせるのは弊社の強みの一つですね。
日米のビジネスの違い
根本的な概念の違い
日本は失敗しないことを前提に仕組みづくりが行われていますが、アメリカは逆に失敗することを前提に仕組みが作られています。生活習慣や教育レベル、文化や人種が異なる人が同じものを使用するので、上手くいかないことが前提になっているのですね。システム化という言葉一つ取っても、日本では高度化や省力化といった既存のものを磨き上げるイメージが強いですが、アメリカでは誰もが便利に使えるようにする汎用化といった色彩が強いように思います。日本とは生活のレベルは大差がないように見えますが、中身の成り立ちや構造が違うため生活するとギャップを感じることが多いかと思います。
意外とコンサバティブ
アメリカは新しいものをどんどん受け入れるイメージがあると思いますが、意外と保守的です。基本的に定着しているものを変えたがらない部分があると感じますね。私は帰国子女で40年前にロサンゼルスに住んでいたのですが、街のイメージは当時とほとんど変わっていませんし、当時住んでいた家も今もそのままの状態で残っています。生活面でも朝食べるシリアルは虎のマークのTony the tigerが昔も今も人気ですし、キャンベルスープのパッケージも長年変わっていません。
便利なものでも新しいものでも、現地の生活に根付いていないものを実際に商業ベースに乗せることには皆さん苦労されていますね。アメリカでも人と人の繋がりを重視するため、そういった場合は、業界に精通した優れた現地のセールスマンを雇うなどの方法が効果的だと思いますが、給与は日本本社の役員年収よりも上回ってしまうこともあるほど、アメリカでは能力に対して適切に投資していく文化があります。アメリカで成功するためには、日本側も含めたサポートと理解が必要になってくるのではないでしょうか。
進出希望の方へのアドバイス
アメリカに進出される際、会社の設立周りや会計経理の部分はアウトソースされるにもかかわらず物流の部分が後回しになってしまい、その結果マーケティングやセールスに力を入れたくても、日々の物流作業や倉庫スタッフの労務管理に時間を取られてしまうといった状況に陥るケースがあります。進出される際はアドミニストレーションと同じく、物流もグランドデザインの一つとして外注要因と考えることをオススメします。
また、世界各国グローバルに展開されている企業は、中国やインド、東南アジアなどはインフラなども含めて入念なリサーチを行い準備万端で進出されることが多いのですが、アメリカはインフラも整っており日本と同じで大丈夫だろうという感覚の方が多いので、実際にスタートするとそのギャップに苦しまれることがあります。特に、日本側は「アメリカでそんなことはないだろう」「アメリカは日本と同じようにやってくれるだろう」という感覚が強いため、予期せぬトラブルが起こっても日本側の理解が得られにくい部分が多いようですね。アメリカは大丈夫だろうという油断は禁物です。
今後の展望
将来的には「アメリカで有数の物流企業になっていきたい」と言いたいところですが、実際に現在の企業規模ではすぐにそこまで飛躍することは難しいため、現状のペースを守りながら会社自体を大きくしていくことが足元の目標でしょうか。現状を倍々にしていくことで会社としての体力作りを行い、高いレベルのファンデーションを築いていきたいと思っています。
また、今後は中西部や東海岸でのファシリティを持つことやドライ以外の商品の取り扱いを増やしていくなど、足りない部分を減らしていくことも一つの目標です。売上だけ大きくするのではなく、利益も意識しながらスピード感を持って取り組んで行きたいですね。
アメリカ側だけでできることには限界があるので、弊社日本本社やグループ会社の人々と協業しながらお客様によりよいサービスをお届けできるように、着実に進んでいきたいと思っています。
SUMITOMO WAREHOUSE(U.S.A.), INC.
■ホームページ:https://www.sumitomo-soko.co.jp/English/overseas/swu.html
■住所:19301 Pacific Gateway Drive Torrance, CA 90502 U.S.A.
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