L-1ビザにおける米国以外での1年間の雇用要件に関する規定の明確化

文/デビッド・シンデル(Text by David Sindell)

2018年11月15日、米国移民局は、非移民ビザの1つであるL-1ビザに関して、その申請者に求められる条件の1つである、米国以外の親会社、子会社、支店、関連会社での継続した1年間の雇用要件の規定を明確化する指針を発表しました。

L-1ビザは国際企業間の転勤者のためのビザであり、米国に支店、子会社、親会社等がある米国外の企業の社員が米国で働く場合に適用されます。対象者は、エグゼクティブまたはマネージャーとして米国で勤務する者(L-1Aビザ)、またはSpecialized knowledge(会社特有の専門能力)を必要とされて米国で勤務する者(L-1Bビザ)となります。その申請者に求められる資格として、L-1ビザの申請時点からさかのぼって過去3年のうち、1年間継続して米国のスポンサー会社の米国以外の親会社、子会社、支店、関連会社でエグゼクティブ、マネージャーまたは専門能力保持者として勤務していることが条件です。

この新指針により、米国移民局による L-1 申請の審査が一貫していることを保証するため、1年間の米国以外の親会社、子会社、支店、関連会社での雇用要件と過去3年の期間の計算方法について明確化されています。その指針の内容は以下の通りです。

• L-1ビザ受益者は、その申請資格である「1年間継続して米国以外の関連会社で雇用された期間」は、物理的に米国外に滞在している必要があります(ただ、特定の条件下、米国への短期間内の渡航はその継続性を妨げるものではありません)。
• 米国のスポンサー会社とビザ受益者は、初回のL-1ビザの申請時点で、1年間継続した米国以外の親会社、子会社、支店、関連会社での雇用を含む、そのほかすべての申請要件を満たしている必要があります。
• 仮にビザ受益者が米国内にある関連企業で合法的に就労していた場合、その期間を調整することで、過去3年間における継続的な1年の雇用期間の算出が可能となっています(たとえば、ほかの非移民ビザを取得して米国で就労していた場合等)。
• 扶養家族として、または学生の立場として該当する米国企業で働いた場合は、その期間を考慮した継続的な1年間の雇用における調整算出は不可となります。
• 米国で働いていない、または関連性のない米国企業で就労していた期間がある場合も同様に、その期間を考慮した継続的な1年間の雇用における調整算出は不可となります。

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デビッド・シンデル (David Sindell)

デビッド・シンデル (David Sindell)

ライタープロフィール

NY州およびNJ州弁護士資格。外国法事務弁護士(外弁)として東京第2弁護士会所属。アメリカ移民法弁護士協会所属。日本語、フランス語に堪能。

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