女性リーダーシップシリーズ②: 「Empathy」

先月から始まった女性リーダーシップシリーズ、今月のキーワードはEmpathyです。この単語、よくSympathyと混同されがちですが、意味は似て非なるものです。今回はこのEmpathyに着目していきましょう。

まずEmpathyを日本語に訳すと、「共感、感情移入」という言葉に置き変えられます。一方でSympathyは、「共感、同情」という意味になります。和訳すると両方とも「共感」となるため、同じ意味だと思われる方も多いかもしれません。確かに、どちらの単語も「相手の思いに自分を重ね合わせる」という点では共通していますが、それをもって「気持ちを分かち合う」のがEmpathy、一方で「同情する」のがSympathyといったニュアンスになります。

なぜ、このEmpathyがリーダーシップのキーワードとなるのでしょう。
最近の組織論研究によると、今の時代のリーダーとしては、野心的で競争心があり統制的に指揮を取るタイプの人よりも、メンバーに寄り添いながらチームをリードしていく、Empathy力の高いタイプのほうが評価されるという結果が出ているそうです。

皆さまは、このEmpathyを日々の業務で発揮されていますか? 恥ずかしながら、私はまったくできていませんでした。反省の意もこめて、みずからの体験談をご紹介したいと思います。

私の部署には、働くママさんが数名います。下は1歳児のお子さんを持つ人から、上は中学生のお子さんを持つ人まで。このママさんたちは皆、お仕事はとてもよくできるのですが、ときどき「今日はこどもが熱を出したので出社できません」と言って急にお仕事を休んだり、「今デイケアから連絡があり、こどもの体調が悪いようなので、ピックアップのため早退します」という理由で急に退社したりします。

「OK、お大事にね!」と言って申し出を受け入れるものの、そう言った後にいつも私はモヤモヤした気持ちになっていました。予定していた会議をどうしよう、今日締切の資料はどうなるのか……。ほかのメンバーは、口には出さないものの、「私たちはまじめに出勤しているのに、なんで彼女たちだけ特別なの? 業務負担のしわ寄せはこっちに来るのに……」という不満オーラを出していました。また、私にはこどもがいないので、そんなママさんたちの振る舞いにも今一つ共感できずにいました。

「働くママさん側ってどう思っているんだろう?」。ある日、何の気なしに働く女性のサイトをネットで見ていると、そこにはママさん側のコメントがたくさん載っていました。

「今日もこどもの熱が下がらない。また休みますという電話をしないと……気が重い」
「仕事から帰ると、あとはずっとこどもの時間。本を読んだのなんて、最後はいつだっけ」
「本当は、もっと全力投球で仕事がしたい」
「うちの子、昨日は一晩中泣きどおし。結局私の睡眠時間は2時間……はぁ、もう朝だ」

これを見て、私は頭を打たれたような思いがしました。ママさん側も好きで休んでいるわけではないし、たくさん悩んでいるんだと。私には夜に読書する時間もありますし、睡眠時間もそれなりにきちんと取れています。ママさんたちは、そんな時間を削って子育てをしながら、仕事も悩みつつ日々がんばっているのです。今まで相手の状況を理解しようともせず、不満だけを持っていた自分を恥ずかしく思いました。

これは何とかしなければ。翌週私は、「皆がハッピーに仕事するためには?」というテーマで議論する会議の場を設けました。その結果、テレワークを活用する、業務の割り振りを考える、バックアップ担当者を常に設ける……などといったルールを皆で決めました。今ではメンバーがそれぞれ折り合いをつけながら、このルールのもとで仕事をしています。

皆が同じ方向を向いて一緒に進んでいくためには、メンバー同士の理解・共感が不可欠です。もしあなたがチームを担うリーダーなら、メンバーそれぞれの思いや状況などにも目を向けてみるといいかもしれません。しっかりした信頼関係がチーム内にあれば、仕事のアウトプットも自然と変わってきます。その先に見える景色も、また違うものになるかも!

参考サイト:
https://eikaiwa.dmm.com/blog/24283/
https://coach.co.jp/view/20190227.html

参考文献:
Brene Brown著『dare to lead』(Random House社)

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北村祐子 (Yuko Kitamura)

北村祐子 (Yuko Kitamura)

ライタープロフィール

在米23年。津田塾大学を卒業後に渡米し、ルイジアナ大学でMBAを取得後、テキサス州ダラスにある現在の会社で勤務すること20年目。ディレクターとして半導体関係の部品サプライチェーン業務に関わるかたわら、アメリカで働く日本人女性を応援しようと日々模索中。モットーは、「鳴かぬなら 鳴かせてみせよう ホトトギス」。

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