布ナプキンを通じて見た、生理の課題

突然ですが、女性の皆さんは、布ナプキンを使ったことはありますか? 実は私は一度も使ったことがありませんでした。最近のエコブームなどもあって、布ナプキンの存在は知っていたのですが、「このご時世、使い捨ての便利なナプキンがあるのに、なんでわざわざ手で洗ってまで再利用するのか」というのが正直な気持ちでした。でも先日、あるイベントを通じてその思いが180度変わったのです。

私は本業の他にもう一つ、DJCW(Dallas Japanese Career Women)という非営利団体を運営しています。毎月さまざまなテーマで、ゲストスピーカーを招いた登壇会やパネルディスカッションなどの各種イベントを主催しているのですが、先日その一環として、スリランカで布ナプキンの製造販売を手掛けている「モミジ・ナチュラル」という会社を経営されている伊藤理恵さんを登壇者としてお招きする機会がありました。スリランカに関するお話や、現地女性の生理の事情、布ナプキンに関することなどをお話いただくイベントです。布ナプキンに関する知識ゼロの私が主催者側としてイベントをアレンジしてもよいものだろうか、という不安も少々頭をよぎりましたが、伊藤さんはとても親切ていねいに、スリランカの現状や、なぜ今布ナプキンなのかという説明をしてくださいました。

まずスリランカでは、使い捨てナプキンは高級品であるため、すべての女性が気軽に消耗品として購入できるというわけではないとのこと。今まで私は何の疑問もなく、当然のように使い捨てナプキンを使っていたので、そのことにショックを受けました。使い捨てナプキンを買えないスリランカの女性たちは、ボロ布などで代用して毎月生理をしのいでいるそうです。また、使用済ナプキンを処分する際には自宅の庭で燃やすことが多く、有害な煙を出してしまうため、環境問題にもつながってしまっているとのことでした。

現地の女性が手軽に購入できて、環境にも優しいナプキンを提供できないか。その思いで伊藤さんが始めたのが、モミジ・ナチュラルの布ナプキンでした。

布ナプキンに潜む課題は、金額や環境の問題だけではありません。スリランカでは、文化・宗教上の理由で生理について話すことがタブー視されていることもあり、生理に関する理解と教育がなかなか広まっていないそうです。「生理は汚らわしいもの、忌み嫌うべきもの」という考え方を持つ人もまだまだ多く、女子学生は生理中に学校を休むことも多いため、結果として女子の教育機会が損失されているという問題も根強く残ってしまっているとのことでした。

もうすぐ2022年となる今でも、このような問題があるなんて……。今回学んだことがあまりに衝撃的で忘れられず、その後、伊藤さんが登壇中に紹介してくださったインド映画『パッドマン』を観てみました。この映画は、インド人の妻が使っている不衛生で劣悪な生理用品にショックを受け、何とか安価で安全な生理用品を作ろうとする、あるインド人男性の実話を元に作成された映画です。これって20年くらい前の話?と思ったら、なんと映画が公開されたのは2018年! この映画はインドでのお話ですが、スリランカ以外でも、生理の問題は根深くあるようです。

アメリカに住んでいる私にも、せめて何かできないか。いてもたってもいられなくなり、早速モミジ・ナチュラルさんの布ナプキンをネットで購入してみました。自分用だけでなく、友人女性たちへのプレゼント用にも複数購入しました。身近な人に布ナプキンをプレゼントして、布ナプキンの存在を知ってもらいながら、今世界のどこかで私たちと同じ女性の身に何が起きているのか、私たちに何ができるのかを少しずつ発信していきたいと思っています。

<参考>
・DJCW(Dallas Japanese Career Women)
Home | DJCW website
・モミジ・ナチュラル
モミジ・ナチュラル販売サイト
・映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』
オフィシャルサイト| ソニー・ピクチャーズ | DVD 発売

Universal Mobile

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

北村祐子 (Yuko Kitamura)

北村祐子 (Yuko Kitamura)

ライタープロフィール

在米23年。津田塾大学を卒業後に渡米し、ルイジアナ大学でMBAを取得後、テキサス州ダラスにある現在の会社で勤務すること20年目。ディレクターとして半導体関係の部品サプライチェーン業務に関わるかたわら、アメリカで働く日本人女性を応援しようと日々模索中。モットーは、「鳴かぬなら 鳴かせてみせよう ホトトギス」。

この著者への感想・コメントはこちらから

Name / お名前*

Email*

Comment / 本文

この著者の最新の記事

関連記事

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 九州より広いウッド・バッファロー国立公園には、森と湿地がどこまでも続いている ©Parc nati...
  2. 2022年12月9日

    住みたい国
    熊本県八代市の「くまモンポート八代」で 8月の終わりから9月中頃にかけて、私とニナは日本に飛...
  3. 2022年12月7日

    日常の些事
    冬の落ち葉 年齢を重ねると、だんだんと感動が薄くなるとはよくいわれる。ほとんどのことは過去に...
  4. 2022年12月6日

    美酒と器
    酒器の種類 酒器にはさまざまな素材、形のものが存在する。適切な器を選ばないとお酒本来...
  5. 契約上のトラブル 広範囲にわたる法律問題を扱う弊社にはさまざまなお問い合わせがありま...
  6. この号が出る頃、私とニナは日本での3週間の滞在を終えてアメリカに戻っているはずだ。ニナにと...
  7. 2022年10月7日

    森英恵の反骨精神
    裏庭の蝶 ファッションが好きな女性はたくさんいるだろう。私もその一人だ。休日の気晴らしは以前...
  8. およそ2000人の作業員により、6年間で建設されたリドー運河 カナダの首都オタワと、5大湖の...
ページ上部へ戻る