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対面コミュニケーション、忘れていませんか?
- 2021年10月23日
皆さんのお住まいの地域では、コロナワクチンの接種状況はいかがでしょうか。私の住むテキサス州では、すでに3回目となるブースターワクチンが少しずつ広まりつつあります。今のところ、ある一定の条件を満たした人のみが3回目の接種OKということになっているようですが、これから冬を迎えるにつれ、その条件も少しずつ緩和されていきそうです。最近では「ウィズコロナ」というフレーズも聞きますね。長期戦となったコロナと、今後いかにして共存・共生していくかが重要になりそうです。
このコロナ禍で大きく変わったのが働き方です。業種にもよりますが、職場によってはテレワークに切り替えてもう1年半以上経つという企業も多いのではないでしょうか。私の職場もそうです。最初はオンラインツールの使い方やグループ会議の進め方などで四苦八苦したものの、それもあっという間に慣れてしまいました。最近はビデオ画面もオンにせず、声によるオンラインコミュニケーションが主流という企業も多いと聞きます。2009年にEuropean Journal of Social Psychologyが発表した研究によると、人は約66日間で新しい行動様式が習慣化されるというデータもあります(もちろん全員に当てはまるわけではないですが)。テレワークを始めて1年半が経った今、もはやテレワークは新時代の働き方として確固たる市民権を得つつあるようです。
いったんオンラインによる働き方に慣れてしまうと、今度は従来の出社型に戻るのを渋る人も出てきているようですね。最近私の勤務する会社でも、来年に向けて今後の働き方についてさまざまな議論が交わされています。弊社内で実施した社員アンケートによると、従来どおりの完全出社型に戻りたいという声はほぼ皆無。テレワークと出社を半々に取り入れたハイブリッド式を望む声がもっとも多く、一部では100%テレワークを希望する声も上がっています。これからは「所属事務所はテキサスだけど、住んでいるのはハワイ」なんてことも、あり得なくもない時代になってきているのかも?
すっかり支持率が落ちてしまった出社型ですが、そんなに悪者なのでしょうか? いえいえ、そんなことはありません。アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが提唱した「メラビアンの法則」によると、コミュニケーションにおいて相手の情報を得るのに一番重要なのが視覚情報、次に聴覚情報、そして言語情報となっています。視覚と聴覚だけで、実に93%を占めているのです。やはりオンラインだけでなく、対面によるコミュニケーションも重要だといえるのではないでしょうか。
「え、それならビデオ画面をオンにして話せば済むことじゃないの?」そう思われた方も多いかもしれません。その気持ち、よく分かります。実は私も一瞬そう思いました。ですが、2012年に情報処理学会が発表した研究報告によると、オンラインで使用される語彙数は、日本人が日常的に話したり聞いたりする語彙数の約5分の1にしかならないとのこと。やはりオンラインと対面では、コミュニケーションに大きな違いがあるようです。
では、今までどおりの完全出社型にするか? うーん……。正直、あの毎日の渋滞通勤にもう一度戻れる気がしません。勤務開始時間の15分前に起きて、パジャマでパソコンをオンにしてすぐ仕事を始められるというのも魅力的。人はいったんおいしい思いをすると、なかなか戻れないんですねぇ。ワークライフバランスなども考えると、結局ハイブリッド型が最終的に落ち着くところなのかも? 今後の各社の動向が気になりますね。そしてうちの会社はどうなることやら? 今からドキドキです。
<参考>
・How are habits formed: Modelling habit formation in the real world
http://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.695.830&rep=rep1&type=pdf
・メラビアンの法則とは?本当の意味を勘違いしないでね
https://sarhato.falf.jp/nlp/nlp-b2/
・日本人のオンライン・コミュニケーション上での平均使用語彙数は8,000語である
https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/ej/?action=repository_action_common_download&item_id=83603&item_no=1&attribute_id=1&file_no=1
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