ワークライフバランスから、ワークライフエンリッチメントへ

突然ですが、皆さんはもうコロナワクチンの接種を受けましたか? 私の住むテキサス州では、3月にワクチン接種者の対象範囲を16歳以上へと拡張したこともあり、周囲でも少しずつ「私もワクチン受けたよ!」といった声が聞こえ始めています。2021年4月15日時点のデータによると、テキサス州では人口の約34.3%が1回目の接種を終了、そして21%が2回目の接種も終了しているようです。これから接種者が増えてゆくにつれ、私たちの日常も少しずつ元に戻っていくことが期待できそうですが、お仕事面では当分テレワークが続きそうですね。

さて、このテレワーク、昨年3月から始まってから、あっという間に1年が過ぎました。もうずっとテレワークのままでもいいという人もいれば、オフィスに戻れる日を今か今かと心待ちにしているという人もいて、なかなか興味深いなと思います。身近な話でいえば、私の部署で働いている女性チームメンバーのAさんとBさん。二人とも自宅で、小学校入学前の年齢のお子さんの面倒を見ながらテレワークをしています。二人とも犬を飼っているため、オンライン会議中に子どもが泣き叫ぶ声やワンワンという犬の鳴き声が耳に入ってくることもしばしば。ぱっと見だと、AさんもBさんも似たような境遇なのではと思うのですが、Aさんはいつも「こんな環境だと仕事が全然はかどらないので、早くオフィスに戻りたい」というのが口癖。一方、Bさんは「家族と一緒にいると、よし今日も仕事を頑張ろうという気持ちになれるので、テレワークを続けたい」と言っています。もちろんそれぞれの家庭事情や個人の意向があるので、単純に比較することはできませんが、興味深いのが二人の仕事のアウトプットです。テレワーク以前はAさんもBさんもほぼ同等レベルの結果を出していたのですが、テレワークになってから、AさんよりもBさんのほうが、効率よく質の良い結果を出すようになったのです。やはりテレワークは人によって向き不向きがあるのだなと実感するとともに、環境の満足度も仕事のパフォーマンスに影響が出るのでは、と考えるようになりました。

昨今、ワーク・ライフ・バランスというフレーズをよく耳にしますが、その根底には「ワークとライフは相反するものだから、ワークがライフに悪影響を及ぼさないよう、雇用側はさまざまな取り組みを心掛けよう」といった考え方があります。ただ最近では、「ワークとライフは相反するものではなく、相乗効果を与え合うものである」という考え方も生まれてきています。ワークがファミリーに、もしくはファミリーがワークに与える効果がプラスであれば「ワーク・ライフ・エンリッチメント(豊かにする)」、逆にマイナスであれば「ワーク・ライフ・コンフリクト(支障をきたす)」というそうです。確かによくよく考えてみれば、ワークとライフは切っても切り離せないものですし、一方通行でもないですよね。ワークが先かライフが先か。ニワトリが先かタマゴが先か、じゃないですが、相反するものというよりは相乗効果を与え合うものだと考えるほうが、しっくり来る気がします。

私は、この「エンリッチメント」とう言葉がミソではないか?と思っています。一人一人が仕事でもプライベートでもハッピーに過ごすためには、やはりワークとライフの満足度が重要ですね。どうせなら、「仕事のせいで家でやりたいことができない」とか「家事のせいで仕事が満足にできない」と思うよりも、「仕事をしているおかげで家でも役に立っている」とか「家庭があるから仕事も頑張れる」と思いたいですよね。なかなか気持ちを切り替えることは難しいかもしれませんが、本人の考え方次第で、今までネガティブに見えていた状況に少しだけ光が差すかもしれません。

日々の生活を「エンリッチメント」するためにも、ほんのちょっとだけ、ポジティブ思考に変えてみませんか?

<参考>
ワーク・ファミリー・エンリッチメント:
https://office.tokyu-land.co.jp/workplace/archive/WORKPLACE_WorkFamilyEnrichment.html

Google News:ワクチン接種統計(テキサス州):
https://news.google.com/covid19/map?hl=en-US&mid=%2Fm%2F07b_l&state=7&gl=US&ceid=US%3Aen

When work and family are allies: a theory of work-family enrichment:
https://users.ugent.be/~wbeyers/scripties2018/artikels/When%20work%20and%20family%20are%20allies.pdf

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北村祐子 (Yuko Kitamura)

北村祐子 (Yuko Kitamura)

ライタープロフィール

在米23年。津田塾大学を卒業後に渡米し、ルイジアナ大学でMBAを取得後、テキサス州ダラスにある現在の会社で勤務すること20年目。ディレクターとして半導体関係の部品サプライチェーン業務に関わるかたわら、アメリカで働く日本人女性を応援しようと日々模索中。モットーは、「鳴かぬなら 鳴かせてみせよう ホトトギス」。

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