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Noは必ずしもFinal Answerではない
- 2019年7月9日
「来週の業務シフト、代わってもらえない?」
「レポート作成をお願いできる?」
こんな会話、職場でよく耳にしますよね。何気ない普段の会話ですが、実は私たちは、日々の会話を通して毎日さまざまな交渉をしているのです。
そもそも交渉ってなんでしょう? 辞書によると「合意に到達することを目指して討議すること」だそうです。「交渉」と聞くと、なんだかちょっと重い響きに感じるかもしれません。でも、実は何もすべてがそんなヘビーなものではありません。上に挙げたようなカジュアルな会話だって、立派な交渉です。実は私たちは無意識的に、日々交渉をしているんですね。
自分の依頼がすべて相手に受け入れてもらえるのが理想ですが、現実はそう甘くありません。Noとお断りされることもしばしば。そんな時、どうしていますか? 「そっか、ダメだったか」と言って、スゴスゴと自分の席に戻っていますか? もしそうなら、ちょっとアプローチ方法を変えてみませんか。Noは必ずしもFinal Answerではないんです!
仕事をしていると、本当に毎日多種多様のNoに出会います。「今週は忙しくて無理です」とか、「予算がないのでできません」とか、「前例がないので許可しかねます」など……。ガッカリさせられることも多いですが、ここで大事なのは、そこでNoと言われてもすぐ諦めないことです。某有名バスケ漫画で、コーチが「諦めたらそこで試合終了だよ」というセリフがありますが、まさしくそれです。まずはなぜ相手の返事がNoなのかを聞いてみましょう。なんだそんなことか、というような拍子抜けな理由かもしれません。会話のキャッチボールを続けてみると、最初は見えていなかったことが見えてくるかも?
相手の言い分を聞いたら、次はその状況を考慮しながら代替案を考えましょう。時期をずらせばいいのか、予算を削れば対応可なのか……。その人と話してもラチがあかないのなら、いっそ別の人に頼むのも手です。ここで大事なのが柔軟さ。結果に到達する道は、なにも1本のみではありません。急がば回れ、正門がだめなら通用門で! 重要なのは、自分の依頼がどれだけ通ったかではなく、自分が望む結果を最終的に達成できたかどうかです。過程にはあまりこだわらず、結果オーライを目指していきましょう。
以前私は、このアプローチがうまくできなかったがために、あやうく大失敗をするところでした。今回はその体験をご紹介します。
産休で3カ月間休職していた、チームメンバーのAさん。やっと復職したかと思うと、「会社を辞めさせてください」と申し出てきました。突然の話で、メンバーは皆びっくり。しかもこの3カ月間は、人手不足ななかでギリギリプロジェクトを回していたので、Aさんが抜けてしまうのは大きな痛手でした。せめて退職を数カ月待ってくれないかと聞いても、答えはNoでした。Aさんいわく、しばらくは母親業に専念したいとのこと。それを聞いて私は、「それなら仕方ない、今までありがとう!」と彼女を送り出すことにしました。
しかしそこでメンバーの一人が、「そんな簡単に諦める前に、何かカウンターオファーを出せないでしょうか?」と聞いてきたのです。そこで私は、Aさんの状況をもう少し詳しく聞くことにしました。するとAさんは、せっかくここまでキャリアを積んできたのだから、できることなら仕事を続けたい、でも新米ママとしての役目もあり、どうすればいいのか自分でもよく分からない……と本音を話してくれました。
これを聞いて私は、それなら時短パート勤務がある!と思いついたのです。この案を提案すると、Aさんは、「そんなやり方があったんですね、ぜひそうさせてください!」と言って、時短社員としてチームに残る決断をしてくれました。もしあの時、私が相手の言い分をそのまま鵜呑みにして、何の会話や交渉もしていなかったら、プロジェクトはどうなっていたか……。今考えるだけでも恐ろしいです。
相手の答えは必ずしもFinal Answerではありません。よくよく話してみると、実は簡単に調整がきくものだったということもあります。勝手にNoだと決めて諦めずに、相手と会話を重ねながら、柔軟な対応策を探していきたいですね。
参考文献:
Rachel Hollis “Girl, Wash your Face” – Published by Thomas Nelson
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